Description of a work (作品の解説)
2007/07/25掲載
Work figure (作品図)
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ヴェネツィアの大運河

 (Le grand canal à Venise) 1874年
57×48cm | 油彩・画布 | 老後保険会社(サンフランシスコ)

印象派の先駆者エドゥアール・マネが手がけた風景画の代表的な作例のひとつ『ヴェネツィアの大運河』。ヴェネツィアのカナル・グランデ(大運河)や青のヴェネツィアとも呼ばれる本作は、マネが休暇旅行として妻シュザンヌや画家仲間であるジェームズ・ティソと共に1874年9月、カーティス夫妻の招待客としてヴェネツィアを訪れ、パラッツォ・バルバロに滞在していた時に制作された作品で、ヴェネツィアの大運河≪カナル・グランデ(大運河)≫とそこから見える風景が描かれている。ゴンドラ上からの視点で制作されている本作の画面中央から右部にかけて配される、青色と白色で捩れた模様が施された彩色パリーナ(ゴンドラ会社の目印ともなっているゴンドラを岸に繋げるための杭)は、際立った存在感を放ち、またパリーナの奥の遠景にはサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂が見える。本作の特異な構図やスケッチ的な描写による画面左部分の建物も特筆に値するが、本作において最も注目すべき点はカナル・グランデ(大運河)の水面の表現にある。水面に映るパリーナや建物の影は大ぶりで混ざり合わない配色による描写方法によって表現されており、その筆触はクロード・モネなど印象派の画家らの手法を連想させる。これはマネが自己の表現様式に印象主義的の影響を受けて取り入れたものであり、画家の表現・描写様式的な変化が示された典型的な例のひとつである。なおマネ自身はこのヴェネツィア滞在を「退屈であった」と述べたことが伝えられている。


【全体図】
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青色と白色で捩れた模様が施された彩色パリーナ。ヴェネツィアのカナル・グランデ(大運河)や青のヴェネツィアとも呼ばれる本作は、マネが休暇旅行として妻シュザンヌや画家仲間であるジェームズ・ティソと共に1874年9月、カーティス夫妻の招待客としてヴェネツィアを訪れた時に制作された作品である。



【模様が施された彩色パリーナ】
遠景に見えるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂。本作においてパリーナは際立った存在感を放っており、遠景にはサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂が見える。また本作の特異な構図やスケッチ的な描写による画面左部分の建物も特筆に値する。



【サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂】
印象主義的の影響を受けて取り入れた大ぶりで混ざり合わない配色による描写方法。その筆触はクロード・モネなど印象派の画家らの手法を連想させ、本作は画家の表現・描写様式的な変化が示された典型的な例のひとつである。



【印象主義的な表現手法】

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