Description of a work (作品の解説)
2009/05/17掲載
Work figure (作品図)
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ラ・クロの収穫(青い荷車)

 (The Harvest) 1888年
73×92cm | 油彩・画布 | ファン・ゴッホ美術館

後期印象派を代表する画家フィンセント・ファン・ゴッホ、アルル滞在期の作品『ラ・クロの収穫(青い荷車)』。1888年の6月頃に制作された本作は、ゴッホが強烈な陽光を求めて向かった南プロヴァンスのモンマジュール近郊ラ・クロ平野の収穫風景を描いた作品である。画面のほぼ中央へ青い荷車が描き込まれ、その水平線上の右部分へは小さな赤い荷車が、左部分へは大きな積み藁が配されている。これを中景として画面下部へは前景となる簡素な柵が背の低い木立が、画面上部へは遠景として悠々と広がるラ・クロ平野と青々とした山が構成されている。ゴッホ自身の言葉で「故郷を想い起こさせる」と、自身の抱いた心象が残っている本作のやや高い視点からパノラマ的に捉えられたラ・クロ平野の風景に対しては、しばしば17世紀オランダ絵画黄金期における風景画の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダール(ロイスダール)の影響が指摘されている。本作で最も注目すべき点は南仏の強い日差しによって多様に輝くラ・クロ平野の輝くような黄金色の色彩を主色とした各色彩との対比にある。平野に使用される黄色がまず前景を支配し、前景と中景の間には黄色と相性の良い緑色の木立が広げられている。そこから再度、多様な黄色が中景として画面の大部分を支配し、そして青く透き通る山々と雲ひとつ無い青空へと続いていく。この視線の流れを意識した色彩の心地良い変化と点々とアクセント的の加えられる赤色、白色などの色彩はゴッホの色彩に対する類稀な才能を良く示しており、今も観る者を魅了し続ける。なお本作の対の作品として同時期に『プロヴァンスの積み藁』が制作されている。

関連:1888年制作 『プロヴァンスの積み藁』


【全体図】
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画面の中央へ配される青い荷車。1888年の6月頃に制作された本作は、ゴッホが強烈な陽光を求めて向かった南プロヴァンスのモンマジュール近郊ラ・クロ平野の収穫風景を描いた作品で、対の作品として『プロヴァンスの積み藁』が制作されている。



【画面の中央へ配される青い荷車】
近景に広がる黄色の穂と柵。画面のほぼ中央へ青い荷車が描き込まれ、その水平線上の右部分へは小さな赤い荷車が、左部分へは大きな積み藁が配されており、これを中景として前景には簡素な柵が背の低い木立が、遠景には悠々と広がるラ・クロ平野と青々とした山が構成されている。



【近景に広がる黄色の穂と柵】
高く積み上げられた藁。平野に使用される黄色がまず前景を支配し、前景と中景の間には黄色と相性の良い緑色の木立が広げられている。そこから再度、多様な黄色が中景として画面の大部分を支配し、そして青く透き通る山々と雲ひとつ無い青空へと続いていく。



【高く積み上げられた藁】
青々とした遠景の山と清涼感に溢れる空。ゴッホ自身の言葉で「故郷を想い起こさせる」と、自身の抱いた心象が残っている本作のやや高い視点からパノラマ的に捉えられたラ・クロ平野の風景に対しては、しばしば17世紀オランダ絵画黄金期における風景画の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダール(ロイスダール)の影響が指摘されている。



【青々とした遠景の山と空】

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