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Introduction of an artist(アーティスト紹介)

ヤゴブ・ファン・ライスダール(ヤーコプ・ファン・ロイスダール) Jacob van Ruisdael
1628-1682 | オランダ | オランダ絵画黄金期

17世紀のオランダ絵画黄金期において最も評価された風景画家。綿密に計算された雄大かつ劇的な構図に、繊細で緻密な細密描写や大気感を感じさせる光と影の微妙な色彩表現を用い、心地よい緊張感と理想に溢れた風景画を制作。その自然で圧倒的な表現は、同時代の画家はもちろん、イギリス近代絵画の巨匠ターナーやフランスのバルビゾン派らに大きな影響を与えた。ハールレムに生まれ、同じ画家であった父イサク・ファン・ライスダールと、叔父で同時代を代表する風景画家サロモン・ファン・ライスダールから絵画を学び、1648年に同地の画家組合の加入。その後、イタリア人画家と共にドイツやオランダを旅行し、1657年にアムステルダムへと移住する。この頃から作品に、画家の特徴である何気ない風景描写に劇的な緊張感が示されるようになる。1667年に大病を患い窮地に陥るも回復し、故郷ハールレムやアムステルダムの風景を意欲的に制作した。風景描写の中に哲学的な印象を描く画家独自の手法は、ロマン派の巨匠ドラクロワなど後世の画家らに多大な影響を与えた。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
【全体図】
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ベントハイム城のある風景 (Scene with Bentheim Castle)
1653年 | 不明 | 油彩・画布 | アイルランド国立美術館

17世紀オランダ絵画黄金期最大の風景画家ヤゴブ・ファン・ライスダール1650年代初期の代表作『ベントハイム城のある風景』。本作は画家がイタリア人画家と共におこなったドイツ・オランダ旅行で訪れたオランダ国境近辺ウエストファリア地方のベントハイムの城の風景を描いたもので、この頃からライスダールが精力的に取り組み始めた、画家の重要なモティーフのひとつである森や水辺に示される緊張感を含んだ表現が白眉の出来栄えである。画面の前面にはベントハイム城へ続く林道が非常に緻密な写実的描写で描かれている。この前景の圧倒的な描写によってまず観る者を本作の世界へ惹き込み、遠景にそびえるベントハイム城や中腹部に描かれる村へと眼を向けさせているのである。また本作で用いられる画家独特の輝きを帯びた大気的な光の描写や深みのある陰影の表現は、後の画家の様式の大きな特徴となる心地よい緊張感と理想に溢れた劇的な表現を予感させる。なお山梨県立美術館に同主題を描いたヴァリアントが所蔵されている。

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【全体図】
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ユダヤ人墓地 (Jewish Cemetery) 1655-1660年頃
141×182.9cm | 油彩・画布 | デトロイト美術館

17世紀オランダ絵画黄金期最大の風景画家ヤゴブ・ファン・ライスダールの最も世に知られる傑作『ユダヤ人墓地』。本作に描かれるのは、ライスダールの類稀な想像力によって生み出された≪ユダヤ人墓地≫の理想的風景で、単なる理想的風景描写に留まらず、自然の圧倒的な力強さや雄大さなど、ある種の自然への畏怖の念を思わせる思想的な表現が用いられている。また中世の建築的な廃墟や墓地、沈黙した静寂な風景の中で絶え間なく流れる流水、画面内で対称位置に配された白樺と虹の存在感などに後のロマン主義的な理念を感じさせるほか、入念に計算され描写される光と闇の劇的な表現によってもたらされる本作の陰鬱で空虚な雰囲気は、本質的な人間性における罪の意識や死への恐怖を表したものであると、一部の研究者は解釈している。なお1670年以降に描かれた同主題の作品がドレスデン国立美術館に所蔵されている。

関連:ドレスデン国立美術館所蔵 『ユダヤ人墓地』

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太陽の出現 (A Burst of Sunshine) 1660年頃
83×99cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

西洋絵画史上、屈指の風景画家として知られる17世紀の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダールの代表作『太陽の出現』。作品制作の詳細は不明であるが、1784年に当時フランスを統治していたルイ16世のコレクションとして購入された本作は、ライスダールが独自の様式を完成させ始めた1660年代初頭に描かれたと推測されている。本作に描かれるのは、他の画家もしばしば描いてきた、ありきたりな山岳の風景であるが、太陽の出現により光が差し込み美しく輝きを放つ雲域や大地、遠景の小高い丘に建てられる街や風車、旅人や水遊びに興じる者らの詩情感に溢れた表現は特筆に値する。また非常に高度な写実的描写を用いながらも、観る者にある種の哲学的思想を感じさせる本風景の雄大な印象までも描く先進的な手法は、同時代やそれ以降の画家らの風景画制作(風景描写)において多大な影響を与えており、ロマン派の巨匠ドラクロワも(特に冬景色の作品に)強い感銘を受けたことが知られている。

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オートマルスムの眺め (View of Ootmarsum) 1660年以降
59.1×73.2cm | 油彩・画布 | アルテ・ピナコテーク

17世紀オランダ絵画黄金期における風景画の大家ヤゴブ・ファン・ライスダールの代表作『オートマルスムの眺め』。ライスダールの様式が円熟味を増していった1660年以降に描かれたと推測される本作はオランダ東部トウェンテ地方の小町を描いた作品で、町を上空から見下ろしたパノラマ的な描写が大きな特徴である。画面中央にはシント・シモン・エン・ユダス教会、左部分にはベッケルの風車、右部分にはかすかにベントハイム城がほぼ平行直線上に配されており、残りの画面2/3を占めるのは雄大な積乱雲の空である。このような建物による構成上のアクセントを加えられた安定的で壮観な描写は、19世紀に至るまで同国の風景画様式に多大な影響を与えた。また赤褐色の屋根や田畑に射し込む斑模様上の陽光の柔らかな色彩の表現は本作において最も美しく注目すべき部分のひとつであり、その卓越した描写は画家の同時代の作品の中でも特筆に値する。

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睡蓮の咲く湖の傍らの樽の木
(Oaks by a with Waterlilies) 1665-1669年頃
111.6×142.2cm | 油彩・画布 | ベルリン国立美術館

オランダ風景画の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダール作『睡蓮の咲く湖の傍らの樽の木』。制作の詳細は不明であるが、現在ベルリン国立美術館が所蔵する本作に描かれるのは、題名どおり睡蓮の咲く湖の傍らの樽の木の風景で、左端に羊飼いの描写がされるものの、画家の代表的なモティーフである森の水辺の風景に特有の緊張感と物語的な幻想性を含んだ表現が秀逸である。画家の研究者によれば、画面内で青々と茂る樽の木と、その手前で朽ち枯れた一本の白木の対照性は、生と死、時と自然、運動と静止を連想させる詩情的な意味を含んでいると解釈している。このようなロマン主義的な思想的理念を画面の中に表現する手法は、画家随一の傑作『ユダヤ人墓地』に代表されるよう、ライスダール中期以降の作品にしばしば示されている。

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ドゥールステーデに近いウェイクの風車
(Mill at Wijk bij Duurstede) 1670年頃
83×101cm | 油彩・画布 | アムステルダム国立美術館

17世紀オランダ絵画黄金期における風景画の大家ヤゴブ・ファン・ライスダール中期〜後期の代表作『ドゥールステーデに近いウェイクの風車』。本作に描かれるのはオランダのユトレヒト地方の街ウェイク・ベイ・ドゥールステーデを流れるレック河と風車のある風景で、何気ない単純な風景の中に、雲間から漏れる陽光や、それを反射する水面の斑など、ある種の緊張的な要素を組み込むことによって、画家独特の風景画の世界観を示している。このように風景画の中に明暗の陰影などによる劇的要素や物語性を感じさせる要素を取り入れた画家独自の様式による作品の中でも、この時代は特に優れた作品が数多く残されていることが知られており、多くの研究者は巨匠ライスダールの画業においてひとつ頂点の時代と見なしている。

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ハールレムの眺め (View of Haarlem) 1670年頃
62.2×52.2cm | 油彩・画布 | チューリヒ美術館(スイス)

オランダ絵画史に燦然と輝く風景画の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダール後期の代表作『ハールレムの眺め』。高位置の視点からパノラマ的に描かれる本作は、画家の故郷ハールレムの雄大な風景で、寺院、水車、森林、道、沼地など画家お馴染みのモティーフが細密な描写によって描き込まれているほか、画面の半分以上を占める晴天の大気的な描写は観る者を圧倒するかのような勇壮さを示している。また沼地に落ちる影の深い青々とした描写や広がりを感じさせる大地の描写も特筆に値する。このような風景の表現は画家の最も得意とした表現手法のひとつで現在も数多く残されており、本作はライスダール後期における、その代表的な作例と言えよう。なおアムステルダム王立美術館にも同主題を描いた作品が所蔵されている。

関連:アムステルダム王立美術館所蔵 『ハールレムの眺め』

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