Description of a work (作品の解説)
2009/02/03掲載
Work figure (作品図)
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アルルのダンスホール


(La Salle de danse à Arles) 1888年
65×81cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

後期印象派の孤高なる画家フィンセント・ファン・ゴッホ、アルル滞在期の代表的作例のひとつ『アルルのダンスホール』。ゴーギャンと共に共同生活を送りながら制作活動をおこなっていた頃となる1888年に手がけられた本作は、アルルのレ・リス大通りに面する≪フォリー・アルレジエンヌ劇場≫における祝祭の夕べの情景を描いた作品である。画面の手前から奥にかけて無数に描き込まれる人々は犇めき合う様にダンスホールの中で踊りに興じており、その印象は独特の退廃性に溢れている。また描かれる人々の姿も、一方では流行の衣服に身を包み、また一方では伝統的な衣服を着こなすなど多様で混沌とした様子である。画面右側に描かれる唯一観る者と視線を交わらせる女性は、画家と親しく、ゴッホがアルルを去る日まで援助を続けていた郵便配達人ジョゼフ・ルーランの妻ルーラン夫人であり、ここに画家の交友関係を見出すことができる。本作で最も注目すべき点は、互いの芸術に対する態度や視点の差異により、やや関係が悪化しつつあったゴーギャンへの理解や、氏との和解を示すかのようなクロワゾニスム的表現にある。太く明確な輪郭線によって描写される人々は線と色面とが強烈に誇張され、極めて装飾的に表現されており、さらにフォリー・アルレジエンヌ劇場の奥や二階にも無数の人々が配されると共に、原色の円で表現される黄色の光がそれらと効果的に呼応している。さらに奥行きを感じさせない平面性や日本趣味的な水平と垂直の強調、毒々しい印象すら抱かせる独自の奇抜で原色的な色彩の使用にもゴッホの個性とゴーギャンへの歩み寄りを見出すことができる。


【全体図】
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ダンスホールの中で犇めき合う人々。ゴーギャンと共に共同生活を送りながら制作活動をおこなっていた頃となる1888年に手がけられた本作は、アルルのレ・リス大通りに面する≪フォリー・アルレジエンヌ劇場≫における祝祭の夕べの情景を描いた作品で、やや関係が悪化しつつあったゴーギャンへの理解や、氏との和解を示すかのような表現が特徴である。



【ダンスホールの中で犇めき合う人々】
輪郭線と色面が強調された表現手法。画面の手前から奥にかけて無数に描き込まれる人々は犇めき合う様にダンスホールの中で踊りに興じており、その印象は独特の退廃性に溢れており、描かれる人々の姿も一方では流行の衣服に身を包み、一方では伝統的な衣服を着こなすなど混沌とした様子である。



【輪郭線と色面が強調された表現手法】
原色的な黄色の円で表現される光。太く明確な輪郭線によって描写される人々は線と色面とが強烈に誇張され、極めて装飾的に表現されており、さらにフォリー・アルレジエンヌ劇場の奥や二階にも無数の人々が配されると共に、原色の円で表現される黄色の光がそれらと効果的に呼応している。



【原色的な黄色の円で表現される光】

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