Description of a work (作品の解説)
2008/03/10掲載
Work figure (作品図)
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女性大水浴図

 (Grandes baigneuses) 1898-1906年
208×249cm | 油彩・画布 | フィラデルフィア美術館

近代絵画の父であり、後期印象派を代表する大画家でもある巨匠ポール・セザンヌの最高傑作のひとつ『女性大水浴図』。多数の水浴する女性が描かれる本作は、画家が晩年に手がけた大水浴図の中でも最初に手がけられた作品であり、最も完成度が高い作品として知られている。画家は生涯の中で女性水浴図を画題とした作品を50点近く残しているが、本作はルーヴル美術館に所蔵されるルネサンスヴェネツィア派の画家パオロ・ヴェロネーゼによる『エマオの晩餐』を始め、過去の偉大な画家たちの作品の画面展開・構図的引用が認められている。本作の左右から中央に向かって伸びる木々や、個々の女性像がその姿態によって形成する三角形の図式は、古典的な安定感と形状的な視覚的(強調)効果をもたらしている。またマニエリスム的にも感じられる極端に引き伸ばされた人体的構造や、複数の視点の採用、個別では大雑把かつ散逸的でありながら、全体では明確に対象の形象を捉えたスクエア的な筆触、透明感と重厚感が混在した色彩描写などは、水浴図や静物画など幾多の作品制作で画家がおこなってきた対象の造形への探求を経て、晩年期に辿り着いたセザンヌの革新的様式の集大成を感じさせる。本作の解釈については、中央部分やや左側に配される教会や対岸の男性像などの図像によって諸説唱えられているものの、古典的な理想化する表現と自然主義(写実)的な造形表現の融合の試み、人間と自然の調和、また男女間や古典と現代の調和に対する挑戦という点では意見はほぼ一致している。なお本作以外の女性大水浴図ではロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵している『女性大水浴図(水浴の女たち)』が知られているほか、セザンヌは同時期に本作と並行して『水浴する女たち(シカゴ美術研究所所蔵)』を制作している。

関連:『水浴する女たち』
関連:『女性大水浴図(水浴の女たち)』
関連:パオロ・ヴェロネーゼ作 『エマオの晩餐』


【全体図】
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姿態によって三角形を形成する水浴する裸婦。本作の左右から中央に向かって伸びる木々や、個々の女性像がその姿態によって形成する三角形の図式は、古典的な安定感と形状的な視覚的(強調)効果をもたらしている。



【姿態によって三角形を形成する裸婦】
様々な視点によって描かれる人物。50点近く残されている女性水浴図を画題とした作品のひとつである本作は、画家が晩年に手がけた大水浴図の中でも最初に手がけられたの作品であり、最も完成度が高い作品として知られている。



【様々な視点によって描かれる人物】
遠景に見える教会と中央の人物像。極端に引き伸ばされた人体的構造や、複数の視点の採用、個別では大雑把かつ散逸的でありながら、全体では明確に対象の形象を捉えたスクエア的な筆触、透明感と重厚感が混在した色彩描写などは、画家の革新的様式の集大成を感じさせる。



【遠景に見える教会と中央の人物像】
全体では明確に対象の形象を捉えた独特の筆触。本作はルーヴル美術館に所蔵されるルネサンスヴェネツィア派の画家パオロ・ヴェロネーゼによる『エマオの晩餐』を始め、過去の偉大な画家たちの作品の画面展開・構図的引用が認められている。



【明確に形象を捉えた独特の筆触】

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