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フランシスコ・デ・スルバラン Francisco de Zurbaran
1598-1664 | スペイン | バロック セビーリャ派

ベラスケスと共に17世紀前半に活躍したセビーリャ派の画家。生涯にわたり教会と修道院のために宗教画を制作した。激しい明暗対比と写実描写の作品でセビーリャで大成を収め確固たる地位を築き、1634年にはベラスケスの招きによりマドリッドで活動、『カディスの防衛』など王宮からの注文などを手がけるも、スルバラン最大の魅力である静謐な表現は受け入れられず、同地で成功を収めるには至らなかった。その後、セビーリャへと帰郷するが画業としては1639年頃、同地で手がけたグアダルーペ大聖堂のための連作がその頂点を示している。1640年代に入ると、激しい中にも柔らかい明暗表現を用いた若きムリーリョの台頭によってその地位を奪われていき、息子フアンの死をきっかけにベラスケスを頼り再びマドリッドへと旅立つも、大成はせず失意のうちに没する。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
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聖グレゴリウス (San Gregory) 1626-1627年頃
198×125cm | 油彩・画布 | セビーリャ美術館

スルバランが初期セビーリャ時代に手がけた代表的な聖人像作品のひとつ『聖グレゴリウス』。本作はドミニコ会修道院サン・パブロ・エル・レアール聖堂のために制作された17点の聖人肖像のうちのひとつで、ラテン教会四大教父のひとりで第64代教皇としても知られる聖グレゴリウスの単身を描いたものである。本作で示される実直な写実主義にパチェーコの影響下にあった若きベラスケスの影響も感じられるも、静謐で簡素な図像に計算された光彩と配色、鋭い輪郭線による人物が持った精神性の表現などスルバランの豊かな才能を見出すことができる。本作のほか聖ヒエロニムス、聖アウグスティヌスなど代表例を含む合計17点もの連作的聖人肖像の完成によって、当時、スペインで最も重要な貿易街のひとつであったセビーリャでの名声と成功を得るに至った。貴族出身の聖グレゴリウスはローマの執政官を経て聖ベネディクト会に入り修道の生活を送った後、助祭、そして教皇に選定され機構改革や、寛容と慈悲の教え、奴隷廃止、戦争防止、聖職者の独身制などを規定するほか、グレゴリオ聖歌と呼ばれる教会音楽を集成したことでも知られている。

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聖セラピウスの殉教 (Martirio de san Serapio) 1628年
120×103cm | 油彩・画布 | ウォズワース・アテネウム

スルバランの静謐な特徴が強く示される初期聖人画の代表作例のひとつ『聖セラピウスの殉教』。本作は13世紀にムーア人によって捕らえられ殉教し、18世紀にようやく聖列に加えられたメルセス修道会の初期会士≪聖セラピウス≫の殉教場面を描いたもので、同修道会における葬儀礼拝堂の礼拝像として制作された作品である。本作の強い明暗対比による聖人セラピウスの悲劇的な殉教の表現は、セビーリャ派独特の特徴を用いながら、スルバランの得意とした深い精神性と信仰心を表現する静謐な場面描写によって父なる神への敬虔な姿を示している。またこのような暗中に強い明暗対比をもって表現されるスルバランの人物描写はバロック絵画の巨匠カラヴァッジョの影響を随所に感じさせ、本作においても各研究者から指摘されている。

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聖ボナヴェントゥーラの埋葬 1629年
(Funerales de san Buenaventura)
245×220cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

スルバランの代表的な連作宗教画のひとつ『聖ボナヴェントゥーラの埋葬』。本作はセビーリャのサン・フランシスコ会修道院が運営する聖ボナヴェントゥーラ学院のために同聖人の生涯を描いた連作≪聖ボナヴェントゥーラの生涯≫の中のひとつで、聖ボナヴェントゥーラが逝去し、その葬儀で民衆の告別を受ける場面≪聖ボナヴェントゥーラの埋葬≫を表している。この連作は本作のほか、ルーヴル美術館所蔵の『リヨン公会議における聖ボナヴェントゥーラ』、第二次大戦(1945年)に破壊された『聖トマス・アクイナスを訪問する聖ボナヴェントゥーラ』、ドレスデン国立美術館が所蔵する『祈る聖ボナヴェントゥーラ』の4枚で構成されていた。本作の主題≪聖ボナヴェントゥーラ≫とは本名ジョバンニ・フィダンツァとする11世紀に活躍した神学者、宗教学者兼枢機卿で、トスカナ地方バニョレアに生まれるも病弱だった幼少のころに聖フランチェスコによって健康を取り戻し、聖フランチェスコからボナヴェントゥーラ(幸運な子の意)と呼ばれたことからこの通称が定着した。またボナヴェントゥーラは熾天使博士と称えられるほど神学に精通しており、著書『聖フランチェスコ』や『生命の木』などは現在も貴重な資料として使用されている。

関連:『リヨン公会議における聖ボナヴェントゥーラ』
関連:『祈る聖ボナヴェントゥーラ』

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茨の冠を見つめる幼児キリスト(ナザレトの家) 1630年頃
(Crist Niño contemplando la corona de espinas (Casa de Nazareth))
165×230cm | 油彩・画布 | クリーヴランド美術館

セビーリャで確固たる地位を築いた大画家スルバランの代表的な聖母子作品のひとつ『茨の冠を見つめる幼児キリスト(ナザレトの家)』。地方出身の画家であるスルバランの生涯において最も重要な時期となった1630年代初頭に描かれたと推測されている本作は、神の子イエスが聖母マリアと共に住まうナザレ村(ナザレトとも呼ばれている)の自宅の一場面を描いたもので、後に自らを戴冠することになる受難の象徴である茨の冠を思慮深げに見つめる幼いイエスと、イエスの将来を案じ憂う聖母マリアの表現は画家の静謐でと信仰に満ちたスルバランの様式の特徴をよく示している。また本作は当時より非常に評価が高く、茨の冠を見つめるイエスを単独で描いた作品がセビーリャの地を始めとして複数に所蔵されている。

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無原罪の御宿り (Inmaculada Concepción) 1630-35年頃
139×104cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

スペイン・バロック芸術の大画家フランシスコ・デ・スルバランの最も著名な代表作のひとつ『無原罪の御宿り』。本作の主題は厳格なカトリック国家であり、聖母マリアへの信仰も非常に深かった17世紀スペインにおいて、最も一般的に描かれた主題のひとつである、聖母マリアの原罪なき姿を示す≪無原罪の御宿り≫を描いたもので、友人であり同時代を代表する巨匠ベラスケスの師であるパチェーコの『絵画論』の図像学的規定に忠実に基づいた構図が展開されている。本作に描かれる≪無原罪の御宿り≫は、神の子イエスが宿る聖なる体器に選定された聖母マリアも、イエス同様、原罪から免れているとの考えから神学者の間で盛んに議論された後、1854年にようやく法王庁より公認された教理で、本作では下弦の月に乗り地上へと降りてくる少女の姿をした聖母マリアの誕生と聖性を象徴化し表現されている。なお、セビーリャやアンダルシアを中心とした教会や修道院からの注文が多かった為にスルバランの現存する作品は宗教画が大半を占め、中でもこの≪無原罪の御宿り≫を主題とした作品は、画家の生涯の中でも複数描かれている。

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磔刑のキリストを描く聖ルカ 1630-40年頃
(San Lucas como pintor, ante Cristo en la cruz)
105×84cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

17世紀セビーリャ派の偉大なる画家スルバランの描いた磔刑のキリスト像の代表的な作品のひとつ『磔刑のキリストを描く聖ルカ』。本作に描かれるのは、自らがユダヤの王と宣言し民を惑わせたとして、ユダヤの大司祭カイアファや民衆によって磔刑に処された受難者イエスの姿≪磔刑のキリスト≫と、その姿を描く老人であり、この老人は通常、福音書記者聖ルカと解釈されているも、この主イエスの昇天後、聖パウロの弟子となり多くの改宗者をよんだ画家の聖ルカのキリストを描く姿は、スルバランを再評価した研究者マリア・ルイサ・カトゥルラによってスルバランの自画像とも指摘されているも、本作を描いた当時画家は三十代〜四十代であったことから、この説に疑問を唱える研究者も多い。なお本作はドン・セバスティアン・ガブリエル親王の息子ドン・アルフォンソ・デ・ボルボン・ブラガンサが所蔵した後、カルタヘナ伯爵遺贈基金によって購入されプラド美術館へ入った。

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レモン・かごのオレンジ・茶碗
(Plato de cidras, cesto de naranjas y taza)1633年
66×107cm | 油彩・画布 | ノートン・サイモン財団(L.A)

スペインバロック絵画の先駆者スルバランの署名が残る唯一の静物画『レモン・かごのオレンジ・茶碗』。同じくスルバランを代表する静物画『茶碗・アンフォラ・壺』と同時期に描かれたとされる本作は、セビーリャ派独特の強い陰影による写実的な描写にスルバラン最大の特徴である静謐な表現が加わり、静物画でありながら深い魅力を携えている。

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茶碗・アンフォラ・壺 (Taza, anfora y cantarilla) 1633年頃
46×84cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

セビーリャ派の巨匠スルバランが描いたスペイン絵画代表するボデゴン(スペインで静物画を意味する)作品のひとつ『茶碗・アンフォラ・壺』。暗中の棚に整然と陳列される4つの食器を、写実に富んだ卓越した描写力と、フランドルやオランダなどの静物画にはない深い精神性を感じさせる静謐な表現を用い描かれている本作は、制作された当時よりセビーリャ派の画家スルバランを代表するばかりか、異論なくスペイン絵画史上最も優れたボデゴンのひとつとして認められており、また外側の白銅の皿に乗る2つの食器は中央の2つよりやや高い位置の視点から描かれるほか、通常なら各々に写る光の反射が描き込まれて点などから食器を並べてではなく個々個々に描いたと推測されている。なおペレス=サンチェスを始めとする複数の研究者は本作をスルバランの最晩年頃(1658-1664)の作品と位置付けている。

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カディスの防衛 (Defensa de Cadiz) 1634年頃
139×104cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

1634年から滞在していたマドリッドで、ベラスケスなど当時を代表する画家達によって描かれた、スペインの戦勝を記念する連作12点の歴史画のひとつ『カディスの防衛』。ブエン・レティーロ宮「諸王国の間」を飾るために制作された本作は、1624年から起こったスペインとイギリスとの開戦の翌年、8000もの大群で押し寄せるイギリス軍に対して、F・ギロンの率いる僅か600のスペイン守備隊が都市カディスを防衛した歴史的勝利の場面≪カディスの防衛≫を描いたもので、前景にはF・ギロンを始めとする、この歴史的勝利の主要人物を、後景には都市カディスを防備するスペイン守備隊とイギリス軍との争いの場面が描かれている。しかしながら静謐な表現による深い精神性を描くことを得意としていたスルバランの作風は、本作のようなダイナミックな展開が求められる歴史画には本質的に向いておらず、マドリッドにおいてもそれほど評価を得ることなく、数年後、失意のうちに故郷セビーリャへと帰郷した。

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聖マルガリタ (Santa Margarita) 1635-40年頃
163×105cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

スルバラン直筆による単身聖人像の代表的な作例のひとつ『聖マルガリタ』。本作はアンティオキア出身とされる十四救難聖人のひとりで、アンティオキア地の総督の求婚を受け入れなかったために拷問された後、斬首によって殉教した4世紀の聖女マルガリタの単身像を描いたもので、スルバランの特徴となる深い信仰心と静謐で落ち着きのある表現が見事に示されている。画家の大規模な仕事のひとつであった聖人単身像の制作は連作的に描かれた諸聖人単身像を始め、その大部分は弟子によって制作されたものの、本作はスルバラン自身が手がけたことが判明しており、非常に細密で写実的に描写される聖マリガリタの表情や衣服の表現は画家の力量の高さを示し、それは捕らえられた牢内で聖マリガリタを脅かすも十字架を掲げられ逃げ出した悪魔の化ける竜(一節には聖マリガリタは竜に飲み込まれるも、帯同していた十字架で竜の腹を裂き蘇ったとされている)にも同様に認められる。

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神の子羊 (Agnus Dei) 1635-40年頃
62×38cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

セビーリャ派の巨匠スルバランの特徴がよく示される傑作『神の子羊』。本作の主題はヨハネ黙示録にも記される、世界の罪を償うイエスを象徴する存在であり、父なる神への捧げる聖なる存在でもある≪神の子羊≫を描いたもので、暗闇の中に静然と配された、スルバランの優れた画力を示す極めて正確な描写による子羊の表現は、スペインで17世紀におこった対抗宗教改革期において、最も的確に神への従順を示した作品のひとつと位置付けられた。このような≪神の子羊≫を題材にした作品は、初期ネーデルランド絵画の大家ヤン・ファン・エイクの『ヘント(ゲント)の祭壇画』を始めそれまでにも数多く描かれているが、本作では光臨など視覚的な聖性は示されず、写実による現実への深い精神性によって、より親密で信仰心に溢れた神への信仰を表現している。

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聖カシルダ(ポルトガルの聖イザベル)
(Santa Casilda) 1640年頃
184×90cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

17世紀セビーリャ派の巨匠スルバランを代表する単身聖人像作品のひとつ『聖カシルダ』。おそらくはスペイン皇帝カルロス4世が1796年のセビーリャ滞在時に購入したと考えられている本作の聖人像≪聖カシルダ≫は、9世紀前半頃にブルゴスに生まれたムーア人の王女で父である王の意に反してキリスト教へ改宗後、キリスト教徒であった囚人を世話し、1087年に殉教した聖女である。世俗的現実性を示す当時の宮廷装束衣を纏った聖カシルダの手にする薔薇とパンのかけらのアトリビュートは、パンを前掛けへ隠しキリスト教徒の下へ持ってゆく途中で父に捕らえられるも、前掛けの中を調べられた際、パンが薔薇の花束に変わり難を逃れたとの伝説に由来している。なお手にする薔薇などのアトリビュートから伝統的に≪聖カシルダ≫を描いた作品であると解釈されてきたが、近年では同様のアトリビュートを示すハンガリーの聖エリザベトから名付けられた≪ポルトガルの聖イザベル≫を描いた作品であると解釈される傾向にある。

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無原罪の御宿り (Inmaculada Concepción) 1661年頃
136×102cm | 油彩・画布 | ブダペスト美術館(ハンガリー)

スペイン・バロック芸術の大画家フランシスコ・デ・スルバラン作『無原罪の御宿り』。本作はスルバランが生涯に数多く描いてきた≪無原罪の御宿り≫を主題とした作品のひとつであるが、プラド美術館所蔵の無原罪の御宿りはセビーリャで成功を為した頃に描かれたパチェーコの図像学的規定に忠実に基づいた作品であるのに対し、本作は図像学的規定を逸脱し、画家の独自な解釈に基づいて制作されている。エステルハージイ・コレクションよりブダペスト美術館に所蔵された来歴が確かな本作の主題≪無原罪の御宿り≫は神の子イエスの母である聖母マリアが、マリアの母(イエスの祖母)アンナの胎内に宿った瞬間、神の恩寵により原罪から免れたとする、最初は東方で唱えられ神学者の間で盛んに議論された後、1854年に公認された教理で、聖三位の一位である神の子イエス、その聖器の聖母マリア、聖母マリアを生んだ母アンナそれぞれの関係性により当時は公認されていなかった複雑な主題であった。なお本作の左下端部分には画家直筆による署名が記されている。

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