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homeページCollection常設展示バロック美術
Introduction of an artist(アーティスト紹介)

フランシスコ・パチェーコ Francisco Pacheco
1564-1644 | スペイン | バロック・セビーリャ派

16世紀後半から17世紀初頭のセビーリャにおいて、美術界を先導した画家、美術研究家。厳しい陰影による無骨で写実的な描写と、叙情性を含んだ実直で型にはまった場面構成・構図展開は、セビーリャとその近郊の美術界を席巻し、同地出身の画家に多大な影響を与えた。またパチェーコが執筆したスペイン最初の本格的な美術書である『絵画芸術論』、『肖像画集』は当時の美術界の動きを知る上で欠かせない重要な資料となるほか、自身の作による詩篇も現存している。パチェーコの弟子にはスペイン絵画史最大の巨匠のひとりディエゴ・ベラスケスや17世紀の画家アロンソ・カーノが控えるほか、間接的には同地出身の大画家フランシスコ・デ・スルバランムリーリョにも影響を与えている。中でもベラスケスはパチェーコの娘フアナ・パチェーコと結婚するなど、その繋がりは非常に強い。パチェーコの最大の功績はキリスト教の教義や解釈に基づいたイコノグラフィー(図像学)の積極的な展開にあり、主題≪無原罪の御宿り≫に代表されるよう、後世の画家らの作品にはその影響が強く示されている。1564年カディスのサンルーカル・デ・バラメーダに生まれ、(画家自身の記述によれば)セビーリャで画家ルイス・フェルナンデスから絵画を学んだとされる。セビーリャで有力貴族や聖職者などと交友を深め、彼等の好む図像学的作品を手がけ、しだいに確固たる地位を確立。1611年からマドリッドやエル・エスコリアル、トレドへ旅行し宮廷美術や雰囲気を吸収、セビーリャに戻ってからの作品へはその成果が積極的に取り入れられている。1624年には国王の宮廷画家として認められるようベラスケスの協力を得て再びマドリッドへ赴くも、失敗。失意のままセビーリャへ帰郷。晩年頃はスルバランなど若い画家らの様式に圧されるなど、パチェーコの無骨な表現様式は人々の支持を失い、1644年に死去。享年80歳。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
【全体図】
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黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ
(San Joaquín y Santa Ana arrodillados ante la Puerta)
148×83cm | 油彩・板 | 王立サン・フェルナンド美術学校

16世紀後半セビーリャ美術界の巨人フランシスコ・パチェーコ作『黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ』。画家が活躍したセビーリャのサン・エルメネヒルド学校のために制作された作品である本作に描かれている主題は、≪黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ≫であるが、20世紀に入るまでは、マドリッドやその近郊で厚い信仰を受けた農夫聖イシドロと、聖マリア・デ・ラ・カベーサであると考えられていた。本作の厳しく深い明暗対比や実直な写実的描写は、画家の固定化された絵画理念をよく示している。本主題≪黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ≫を大まかに説明すると、妻アンナと結婚して20年間、子供を授かることが無かったイスラエル十二部族のひとりヨアキムであったが、ある年、子供を授かる為に妻アンナは小間使いと共に庭で祈りを捧げ、ヨアキムは祭日に通年の2倍の供物(羊又は銀貨)を捧げようとエルサレムの神殿へ向かう。しかしヨアキムは神殿から拒まれ、失望し40日間荒野で羊に囲まれながら断食をしていると、ヨアキムのもとへ現れた天使(大天使ガブリエルとされる)によって妻アンナの懐胎を告げられると、急いで帰路に発つ。一方、妻アンナのもとへも天使が現れ、娘マリアの誕生を聖告すると、妻アンナはヨアキムを迎えに発つ。二人は金門で出会い、受胎を喜び抱擁し合い接吻するという場面で、金門は旧約聖書の預言者エゼキエルが語った「閉ざされた門」であり、この主題は聖母マリアの処女性の象徴を示したものだと考えられている。

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【全体図】
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ミゲール・シッドのいる無原罪の御宿り
(La Inmaculada con el retrato de Miguel Cid) 1617年頃
160×109cm | 油彩・板 | セビーリャ大聖堂

16世紀後半から17世紀初頭のセビーリャにおいて、美術界を先導した画家フランシスコ・パチェーコを代表する作品『ミゲール・シッドのいる無原罪の御宿り』。パチェーコの手がけた作品の中でも特に人気の高く著名な本作に描かれるのは、神の子イエスの母である聖母マリアが、マリアの母(イエスの祖母)アンナの胎内に宿った瞬間、神の恩寵により原罪から免れたとする、最初は東方で唱えられ、神学者の間で盛んに議論された後、19世紀半ばの1854年にようやく法王庁より公認された教理で、聖三位の一位である神の子イエス、その聖器の聖母マリア、聖母マリアを生んだ母アンナそれぞれの関係性により、本作が制作された当時は公認されていなかった複雑な主題≪無原罪の御宿り≫である。本作には聖母マリアの頭上に輝く12の星々、純潔を表す若々しい乙女のような面持ち、胸のあたりで両手を合わせる動作、複数描かれる天使、偉大なる天上の力を表現した聖母マリアの背後の威光、足許の下弦の月、聖母マリアの象徴である椰子の木、薔薇、糸杉など画家が積極的に取り入れたイコノグラフィー的な展開が顕著に示されており、厳しい明暗対比による無骨で実直な本作の場面表現は、パチェーコ以降の画家が本主題を扱う際に多大な影響を与えた。また画面下部左端に描かれるのはセビーリャ出身の同時代を代表する詩人ミゲール・シッドで、多くの聖母礼讃詩を残したことが知られている。

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