Description of a work (作品の解説)
2009/04/19掲載
Work figure (作品図)
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ユピテルとセメレ

 (Jupiter et Sémélé) 1895年
213×118cm | 油彩・画布 | ギュスターヴ・モロー美術館

19世紀フランス象徴主義の大画家ギュスターヴ・モローが最晩年に制作した随一の大作『ユピテルとセメレ』。モローが死の3年前となる1895年に、わずか4ヶ月で仕上げたとの逸話も残される本作は、神話≪ユピテルとセメレ≫を主題に独自的解釈に基づいて構成された大作中の大作である。本作の主題≪ユピテルとセメレ≫は、主神ユピテルと結ばれ、その子を身篭ったテバイ王の娘セメレに嫉妬する(ユピテルの正妻である)女神ユノに、「お前の愛する男が本当に神であるか確かめてみよ」と唆されたセメレが、ユピテルに一度だけ本当の姿を見せて欲しいと懇願し、ユピテルが仕方なく神の姿に戻った途端、セメレの身体が神の威光(稲妻とされる)に焼き尽くされたとされる内容であるが、本作にはユピテルやセメレの他にも、サテュロス、ファウヌス、ドリュアス、ハマドリュアス、天使、妖精、聖鳥(鷲)など神話・宗教を問わず様々な要素が独自的解釈に基づきながら取り入れられている。また本作には神話上の主題≪ユピテルとセメレ≫の他にも、側面的に神と人間との結婚≪聖婚≫の象徴化への取り組みとも解釈する研究者も多い(モローは1875年頃から聖婚の取り組みひとつとして『レダ』を画題とした作品を複数手がけていることも知られている)。画面中央からやや上に配される主神ユピテルは、赤々とした稲妻を背後に伴いながら玉座に君臨しており、その姿は神としての威厳に満ち溢れている。その傍ら(ユピテルの右手側)に配されるセメレは白く輝く肌が高貴な身体を甘美に反らせながら、ユピテルへと視線を向けている。神話画としても(ある種の)宗教的図像としても伝統的展開から大きく逸脱し、異国的な雰囲気さえ感じさせる本作の、非常に緻密で繊細な描写による複雑な構成や、無秩序的ながら華麗さと調和を感じさせる個性的な色彩表現、幻想性や神秘性を強調する流麗で儚げな線描などには、晩年期とは思えないほど画家の野心を見出すことができる。なお本作の構図は当初、新古典主義の巨匠アングルの『ユピテルとテテュス』に着想を得られていた。

関連:1875年頃制作 『レダ』
関連:1890-95年頃制作 『ユピテルとセメレ』


【全体図】
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威厳に満ちた主神ユピテルの姿。モローが死の3年前となる1895年に、わずか4ヶ月で仕上げたとの逸話も残される本作は、神話≪ユピテルとセメレ≫を主題に独自的解釈に基づいて構成された大作中の大作である。



【威厳に満ちた主神ユピテルの姿】
神の威光に身体を反らせながらユピテルへと視線を向けるセメレ。本作の主題≪ユピテルとセメレ≫はセメレが、ユピテルに一度だけ本当の姿を見せて欲しいと懇願し、ユピテルが仕方なく神の姿に戻った途端、セメレの身体が神の威光(稲妻とされる)に焼き尽くされたとされる内容である。



【ユピテルへと視線を向けるセメレ】
ユピテルの発する威光で天使へと姿を変える精霊。本作には神話上の主題≪ユピテルとセメレ≫の他にも、側面的に神と人間との結婚≪聖婚≫の象徴化への取り組みとも解釈する研究者も多い(モローは1875年頃から聖婚の取り組みひとつとして『レダ』を画題とした作品を複数手がけていることも知られている)。



【天使へと姿を変える精霊】
画家の独自性が際立つ象徴的な表現。本作の非常に緻密で繊細な描写による複雑な構成や、無秩序的ながら華麗さと調和を感じさせる個性的な色彩表現、幻想性や神秘性を強調する流麗で儚げな線描などには、晩年期とは思えないほど画家の野心を見出すことができる。



【独自性が際立つ象徴的な表現】

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