Description of a work (作品の解説)
2008/07/16掲載
Work figure (作品図)
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陶器と壷とリンゴのある静物


(Nature morte : Pot de grès et pommes) 1887-88年
46×54.5cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

19世紀の末頃(1886年頃)から活躍し始めた同時期のフランスを代表する画家エミール・ベルナールの最も重要な作品のひとつ『陶器と壷とリンゴのある静物』。1887年から翌1888年にかけて制作された本作は、陶器と壷と林檎を描いた静物画である。本作の描かれる画布の裏にはエミール・ベルナール自身によって「総合主義と単純化の最初の試み」と記されており、この事からもフランス総合主義における最初期の作品としても特に重要視されている。1890年頃までのエミール・ベルナールの静物画作品は後期印象派の巨匠ポール・セザンヌからの影響が著しく、本作でもそれを如実に感じさせる部分が数多く指摘されているものの、画家が自身で記したよう、友人である画家アンクタンと共におこなった色面の単純化と明確な輪郭線による形体描写の研究を経て辿り着いた、対象の質感、立体感、固有色などを否定し、輪郭線で囲んだ平坦な色面によって対象を構成する描写手法≪クロワゾニスム≫を用い、イメージを象徴として捉えて絵画上での平面的な単純化を目指す≪総合主義≫の萌芽が明確に示されている。左側に配される陶器、画面中央の壷、そして前方と右側の林檎は何れも太く明確な輪郭線で囲まれ、その内部は立体感や質感を殆ど感じさせない色の面と若干の模様によって構成されている。また静物は全て(静物単体が)最も収まりの良い視点で描かれており、これは先人セザンヌへの傾倒を示している。さらに画面の背景となる上下の水平線上に区切られた黄色と緑色の色面は単純であるが故に、静物の存在感をより際立たせる効果を発揮している。


【全体図】
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太く明確な輪郭線で描かれる緑色の陶器。1887年から翌1888年にかけて制作された本作は、陶器と壷と林檎を描いた静物画で、≪クロワゾニスム≫を用い、イメージを象徴として捉えて絵画上での平面的な単純化を目指す≪総合主義≫の萌芽が明確に示されている。



【明確な輪郭線で描かれる緑色の陶器】
画面中央に配される口の広い壷。本作の描かれる画布の裏にはエミール・ベルナール自身によって「総合主義と単純化の最初の試み」と記されており、この事からもフランス総合主義における最初期の作品としても特に重要視されている。



【画面中央に配される口の広い壷】
先人セザンヌの影響を感じさせる林檎の描写。静物は全て(静物単体が)最も収まりの良い視点で描かれており、これは先人セザンヌへの傾倒を示している。さらに画面の背景となる上下の水平線上に区切られた黄色と緑色の色面は単純であるが故に、静物の存在感をより際立たせる効果を発揮している。



【先人セザンヌの影響を感じさせる林檎】

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