Description of a work (作品の解説)
2008/08/28掲載
Work figure (作品図)
■ 

ブルターニュ詩情(ブルターニュの女たちの風情)


(Bretonnerie) 1892年
84×114cm | 油彩・厚紙 | 個人所蔵

フランスの画家エミール・ベルナール1890年代を代表する作品のひとつ『ブルターニュ詩情(ブルターニュの女たちの風情)』。対の作品として知られる『石垣に座るブルターニュの女たち(壁によるブルターニュの女たち)』と共に、1892年の3月から4月にかけて開催されたアンデパンダン展への出品作でもある本作は、エミール・ベルナールが最も多く手がけた画題でもある≪ブルターニュの女たち≫の情景を描いた作品で、画家の提唱する総合主義(サンテティスム)の本質が示されている。エミール・ベルナールは総合主義の始祖を巡って1891年頃からポール・ゴーギャンと対立しており、本作が制作された翌1892年には両者の関係は埋め難い溝が鮮明になっていた。本作にはそのような状況にあったエミール・ベルナールの己が総合主義の始祖であるという宣言が明確に示されており、その点においても本作と『石垣に座るブルターニュの女たち(壁によるブルターニュの女たち)』は画家の作品の中でも特に重要視されている。画面下部中央から左側には帽子を被った横たわる農夫が、右側には頬杖をつきながら座するブルターニュの女が配されており、女は観る者と視線を交わすようにこちらを向いている。画面上部には三人のブルターニュの女たちが背後を向けて談笑している姿が描かれており、この地方の典型的な情景を感じることができる。立体性や遠近感、質感などを徹底的に排除し、明確な輪郭線や平面化・単純化によって絵画としての構成的本質の探求を随所に見出すことができる本作では名称ともなっている独特の詩情性も特筆すべき出来栄えであり、特に色彩(色面)の構成によって生み出されるブルターニュの雰囲気の表現は、今なお観る者を強く惹きつける。

関連:対画 『石垣に座るブルターニュの女たち』


【全体図】
拡大表示
頬杖をつきながら座するブルターニュの女。1892年の3月から4月にかけて開催されたアンデパンダン展への出品作でもある本作は、エミール・ベルナールが最も多く手がけた画題でもある≪ブルターニュの女たち≫の情景を描いた作品で、画家の提唱する総合主義(サンテティスム)の本質が示されている。



【頬杖をつくブルターニュの女】
横たわる帽子を被った農夫。立体性や遠近感、質感などを徹底的に排除し、明確な輪郭線や平面化・単純化によって絵画としての構成的本質の探求を随所に見出すことができる本作では名称ともなっている独特の詩情性も特筆すべき出来栄えである。



【横たわる帽子を被った農夫】
談笑するブルターニュの女たち。本作にはエミール・ベルナールの己が総合主義の始祖であるという宣言が明確に示されており、その点においても本作と『石垣に座るブルターニュの女たち(壁によるブルターニュの女たち)』は画家の作品の中でも特に重要視されている。



【談笑するブルターニュの女たち】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ