Description of a work (作品の解説)
2009/12/14掲載
Work figure (作品図)
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戦争−流刑者とあお貝(戦い−流刑者とカサ貝)


(War - the Exile and the Rock Limpet) 1842年頃
79.5×79.5cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー(ロンドン)

英国ロマン主義の巨匠ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの代表作『戦争−流刑者とあお貝(戦い−流刑者とカサ貝)』。対画となる『平和−水葬』と共に1842年のロイヤル・アカデミーで発表された本作は、イギリス・プロイセン連合軍にワーテルローの戦いで破れ、南大西洋に位置する英国領の火山島≪セント・ヘレナ島≫へ流され、同孤島で幽閉されたナポレオン・ボナパルト最晩年の情景を想像的に描いた作品であるが、ターナーの真意には『平和−水葬』で画家が追悼の意を表したウィルキーの画家仲間ヘイドンの姿を暗喩しているとされている。ヘイドンはナポレオンの肖像画を描いていたことや、絶えず諍いを起こしていたことが知られており、これらの性格性は人格者かつ平和主義者として知られていたウィルキーと見事なまでに対照的である。本作に描かれるナポレオンは、まるで血で染まった戦場跡のように赤々と落陽する情景の中で、あお貝(カサ貝)に視線を落としている。その姿は己の孤立(孤独)と栄光の終幕を観る者へ容易に連想させる。『平和−水葬』でも取り組まれているゲーテの≪色彩論≫の中では赤色や橙色、黄色は幸福的で活発性を表すと記されていたものの、本作の赤色や橙色、黄色による燃え立つような色彩表現にはナポレオン、さらにはヘイドンの孤独的な内面的心象を感じることができる。なお本作がロイヤル・アカデミーで発表された際のカタログには「あぁ、兵士の夜営のような天幕の形をしたあお貝(カサ貝)の殻が血の海の中にひとつ。しかし、お前は仲間と一緒になれるであろう−希望の挫折」と詩句が共に掲載された。

対画:『平和−水葬』


【全体図】
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あお貝(カサ貝)へ視線を落すナポレオンの姿。本作はイギリス・プロイセン連合軍にワーテルローの戦いで破れ、セント・ヘレナ島へ流され、同孤島で幽閉されたナポレオン・ボナパルト最晩年の情景を想像的に描いた作品であるが、ターナーの真意には『平和−水葬』で画家が追悼の意を表したウィルキーの画家仲間ヘイドンの姿を暗喩しているとされている。



【視線を落すナポレオンの姿】
孤立的なあお貝(カサ貝)。本作がロイヤル・アカデミーで発表された際のカタログには「あぁ、兵士の夜営のような天幕の形をしたあお貝(カサ貝)の殻が血の海の中にひとつ。しかし、お前は仲間と一緒になれるであろう−希望の挫折」と詩句が共に掲載された。



【孤立的なあお貝(カサ貝)】
燃えるようながら孤独的な色彩。『平和−水葬』でも取り組まれているゲーテの≪色彩論≫の中では赤色や橙色、黄色は幸福的で活発性を表すと記されていたものの、本作の赤色や橙色、黄色による燃え立つような色彩表現にはナポレオン、さらにはヘイドンの孤独的な内面的心象を感じることができる。



【燃えるようながら孤独的な色彩】

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