Description of a work (作品の解説)
2008/09/02掲載
Work figure (作品図)
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無関心(冷酷な男、気紛れな恋人)


(Indifférent) 1717年頃
25.5×18.7cm(原寸) | 油彩・板 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀前半期のフランスで活躍した偉大なる巨匠アントワーヌ・ヴァトーが手がけた傑作『無関心(冷酷な男、気紛れな恋人)』。寸法や表現様式などの観点から、ほぼ異論なくルーヴル美術館に所蔵される『ラ・フィネット(悪戯好きな小娘、デリケートな音楽家)』と対画関係にあると推測されている本作はおそらく≪踊り(舞踏)≫を主題に描かれた作品で、一説には画家自身の姿をモデルに手がけられたとされるものの、現在では理想的・典型的なロココ的アプローチによる肖像画と解釈するのが一般的である。本作に関しては日本にも所縁の深い近代を代表するフランスの詩人ポール・クローデルが「違う、彼は無関心なのではない。小鹿や小鳥のように踊り絶妙なバランスを取りながら真珠のような輝く色彩を運ぶ、曙(夜明け)の伝令者なのだ。」との言葉を残しているよう、画面中央に描かれる若い男の姿や様子は、長く名称として用いられている≪無関心≫というより、あたかも芝居に登場する演者のように軽やかかつ優雅な振る舞いを示している。本作の場合でも『ラ・フィネット(悪戯好きな小娘、デリケートな音楽家)』と同様、全体からはやや幻想的でありながら、どこか鬱蒼とした陰鬱な雰囲気が感じられ、それ故、観る者は本作を単なる≪踊り(舞踏)≫を主題に描いた作品として捉えるのではなく、そこに画家の深遠なる精神性を見出すのである。また表現手法に注目しても、『ラ・フィネット』では見られない(帽子の薔薇や外套に用いられている)朱色系統の使用によって、作品全体を覆う褐色的な黄緑色と見事なアクセント的対比をみせており、観る者を魅了する。なお本作は上下に約0.8cm、左に約1.1cm、右に約1.3cmの継ぎ足し処理が施されている。

関連:対画 『ラ・フィネット(悪戯好きな小娘)』


【全体図】
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軽やかかつ優雅な振る舞いを示す若い男。寸法や表現様式などの観点から、ほぼ異論なくルーヴル美術館に所蔵される『ラ・フィネット(悪戯好きな小娘、デリケートな音楽家)』と対画関係にあると推測されている本作はおそらく≪踊り(舞踏)≫を主題に描かれた作品である。



【軽快で優雅な振る舞いを示す若い男】
見事なアクセントとなる外套の赤褐色。近代を代表するフランスの詩人ポール・クローデルが本作に関して「違う、彼は無関心なのではない。小鹿や小鳥のように踊り絶妙なバランスを取りながら真珠のような輝く色彩を運ぶ、曙(夜明け)の伝令者なのだ。」との言葉を残している。



【見事なアクセントとなる外套の赤褐色】
作品全体を覆う褐色的な黄緑色。全体からはやや幻想的でありながら、どこか鬱蒼とした陰鬱な雰囲気が感じられ、それ故、観る者は本作を単なる≪踊り≫を主題に描いた作品として捉えるのではなく、そこに画家の深遠なる精神性を見出すのである。



【作品全体を覆う褐色的な黄緑色】

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