Description of a work (作品の解説)
2009/01/22掲載
Work figure (作品図)
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牢獄から救出される聖ペテロ


(San pietro liberato dal carcere) 1722年
寸法 | 油彩・画布 | サン・スタエ美術館(ヴェネツィア)

18世紀初頭に活躍したヴェネツィア派の画家セバスティアーノ・リッチの代表作『牢獄から救出される聖ペテロ』。ヴェネツィアのサン・スエタ聖堂の12点から構成される壁面装飾画のひとつ(※この連作制作はリッチ以外にもピアツェッタやティエポロなど同時代を代表する画家が参加している)として制作された本作に描かれるのは、キリスト十二弟子の筆頭であり、イエスより教会の中心たる「岩」を意味するアラム語「ケファ(Kephas。ギリシャ語ではPetros)」と名付けられた初代ローマ教皇の聖ペテロが師イエスの磔刑後、布教活動をおこなう中でヘロデ王の迫害に遭いエルサレムで入牢させられるものの、夜中に現れた天使によって牢獄から救出されたという逸話≪牢獄から救出される聖ペテロ≫である。画面右側やや下に配される重厚な鉄鎖に繋がれた聖ペテロは、突如、出現した天使を見て驚きの表情を浮かべている。その対角線的な位置となる画面左側やや上には、聖ペテロの右腕を掴み牢獄から連れ出そうとする天使が神々しい光を背に受けながら中空を舞っている。多少明度の高さを感じさせる色調による調和的な色彩を用いて制作された本作で最も注目すべき点は人物の姿態による対角の強調と身体の連動性にある。聖ペテロと天使は互いに向き合うような視点で描かれるものの、両者の胴体と脚は、ほぼ平行に画面左下へと伸ばされており、また両者の両手はそれらと垂直で交わるかのように画面右下から左上へと向いている。さらに両者の間に描き込まれる白煙は画面右上へと立ち込めている。これら登場人物の姿態による連動的な画面構成の見事さはセバスティアーノ・リッチの作品の中でも特に優れており、今でも学ぶべき点は多い。


【全体図】
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出現した天使を見上げる聖ペテロ。ヴェネツィアのサン・スエタ聖堂の12点から構成される壁面装飾画のひとつ(※この連作制作はリッチ以外にもピアツェッタやティエポロなど同時代を代表する画家が参加している)として制作された本作は≪牢獄から救出される聖ペテロ≫を主題としている。



【出現した天使を見上げる聖ペテロ】
聖ペテロを拘束する重厚な鉄鎖。画面右側やや下に配される重厚な鉄鎖に繋がれた聖ペテロは、突如、出現した天使を見て驚きの表情を浮かべており、その対角線的な位置となる画面左側やや上には、聖ペテロの右腕を掴み牢獄から連れ出そうとする天使が神々しい光を背に受けながら中空を舞っている。



【聖ペテロを拘束する重厚な鉄鎖】
聖ペテロを連れ出す天使の姿。聖ペテロと天使は互いに向き合うような視点で描かれるものの、両者の胴体と脚は、ほぼ平行に画面左下へと伸ばされており、また両者の両手はそれらと垂直で交わるかのように画面右下から左上へと向けられている。



【聖ペテロを連れ出す天使の優美な姿】

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