Description of a work (作品の解説)
2008/02/07掲載
Work figure (作品図)
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目隠し鬼

 (Le Collin-maillard) 1748-1752年頃
116.8×91.4cm | 油彩・画布 | トリード美術館(オハイオ州)

18世紀フランス・ロココ絵画の画家ジャン・オノレ・フラゴナール初期の代表作のひとつ『目隠し鬼』。おそらく画家が師事していたフランソワ・ブーシェの工房時代に制作された作品と推測される本作は、城館、又は邸宅の美しい庭園の中で優雅に目隠し鬼ごっこ遊びに興じる若い男女を描いた作品である。その為、甘美で堕落的な世界観や豊麗な官能性などブーシェの影響が色濃く反映されている。本作を詳しく分析してみると、コルセットを用いてウエストラインを過剰に補正する当時の流行を考慮しても、あまりに細い(細過ぎる)若い女性の腰周りの表現や、野暮な筆触、配置にやや不自然さ(わざとらしさ)を感じさせる画面右側手前の雑用具の描写に、フラゴナールの(画家としての)若輩さが見られなくもないが、躍動的でありながら軽快で瑞々しい運動性や個々の高度な描写に若き画家の溢れる画才を感じずにはいられない。さらに本作の生命感に溢れた輝かんばかりの色彩、特に目隠しして無邪気に足を進める画面中央の若い女性が身に着ける衣服や帽子の縁、その左側に描かれる薔薇の鮮烈な(桃色気味の)色彩は、遠景、そしてさらに奥の空の青色と相対を成しており、観る者に強い印象を残す。また、この男女による≪目隠し鬼≫という遊戯そのものから感じられる愛欲・色情的官能性(エロティシズム)や貴族階級の遊戯独特の幼児性は、当時の社会的風潮や流行を良く伝えている。


【全体図】
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観る者に鮮明な印象を与える軽やかな色彩。本作は城館、又は邸宅の美しい庭園の中で優雅に目隠し鬼ごっこに興じる若い男女を描いた作品で、甘美で堕落的な世界観や豊麗な官能性など師フランソワ・ブーシェの影響が色濃く反映されている。



【鮮明な印象を与える軽やかな色彩】
あまりに細過ぎる女性の胴回り。コルセットを用いてウエストラインを過剰に補正する当時の流行を考慮しても、あまりに細い(細過ぎる)若い女性の腰周りの表現や野暮な筆触、配置にやや不自然さ(わざとらしさ)を感じさせる画面右側手前の雑用具の描写に、フラゴナールの画家としての若輩さが見られなくもない。



【あまりに細過ぎる女性の胴回り】
女性の背後の男の紅潮した頬。この男女による≪目隠し鬼≫という遊戯そのものから感じられる愛欲・色情的官能性(エロティシズム)や貴族階級の遊戯独特の幼児性は、当時の社会的風潮や流行を良く伝えている。



【女性の背後の男の紅潮した頬】

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