Description of a work (作品の解説)
2008/09/05掲載
Work figure (作品図)
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水浴の女たち

 (Les Baigneuses) 1765-72年頃
64×80cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀後期ロココ様式最後の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナールの代表的な裸婦作品のひとつ『水浴の女たち』。本作は古来から神話や宗教的主題によって数多く描かれてきた≪水浴≫を主題とした裸婦群像作品である。過去にはルーベンスレンブラントなど名だたる巨匠たちも取り組んできた本主題≪水浴の女たち≫であるが、フラゴナールは本作で自然(風景)と裸婦のより革新的な融合を試みている。画面右下から中央、そして右側にかけて描かれる複数の裸婦たちは各々が他の裸婦や自然と重なり戯れるように描かれており、その姿は喜びと生命感に溢れている。また画面右上、中央左、右下にとリズミカルに配される豊かに茂った木々や草々は裸婦たちを包み込むように描かれており、その様子にはある種のエロチシズムも見出すことができる。この裸婦群像と自然の互いに溶け合うかのような緊密な調和的関係性は本作の中でも最も注目すべき点であり、画家の同主題に対する理解や方向性が顕著に示されている。また色彩表現に注視しても、薔薇色に輝く赤味の差した健康的で官能性豊かな裸婦の肉体と、やや質量感に富んだ自然の黄緑色との色彩的対比や、柔らかい陰影描写による明瞭な色彩表現などフラゴナールの色彩的特徴が良く表れている。なお本作以外にも同寸法・同主題で類似した構図による作品『水浴の女たち』が知られており、一部の研究者や美術史家たちからは本作との(対画等の)関連性が指摘されている。

関連:個人所蔵 『水浴の女たち』


【全体図】
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自然と戯れる若く美しい裸婦の姿。本作のの裸婦群像と自然の互いに溶け合うかのような緊密な調和的関係性は本作の中でも最も注目すべき点であり、画家の同主題に対する理解や方向性が顕著に示されている。



【自然と戯れる若く美しい裸婦】
互いの姿態が重なり合う裸婦たち。画面右下から中央、そして右側にかけて描かれる複数の裸婦たちは各々が他の裸婦や自然と重なり戯れるように描かれており、その姿は喜びと生命感に溢れている。



【互いの姿態が重なり合う裸婦たち】
やや質量感に富んだ自然の描写。薔薇色に輝く赤味の差した健康的で官能性豊かな裸婦の肉体と、やや質量感に富んだ自然の黄緑色との色彩的対比や、柔らかい陰影描写による明瞭な色彩表現などフラゴナールの色彩的特徴が良く表れている。



【やや質量感に富んだ自然の描写】

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