Description of a work (作品の解説)
2008/04/12掲載
Work figure (作品図)
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若い素描家(素描の練習)

 (Jeune dessinateur) 1737年
80×65cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

ロココ美術の大画家ジャン・シメオン・シャルダンの代表的な単身人物画のひとつ『若い素描家(素描の練習)』。1737年のサロン出品作である本作に描かれるのは、年若き素描家が机に向かい素描用の筆記具を削る姿である。画家が風俗画制作で大きな影響を受けたオランダなど北方絵画の伝統的な画題でもある本画題≪若い素描家≫を描いた作品は2点存在し、パリのサロンへと出品された本作が最初のヴァージョンで、その後に制作されたもう1点の『若い素描家(素描の練習)』は現在、ベルリン国立美術館に所蔵されている。シャルダンの単身人物画の大きな特徴である静謐な雰囲気の中で、左手で持つ筆記具の柄の部分に視線を落とし、右手のナイフで丁寧に柄を削る素描家の初々しく誠実な表情は画家の手がけた人物画の中でも品と格調の高さを感じさせる。またこの素描家の柔らかい心情や感情表現、そして落ち着いた振る舞いも本作の大きな見所である。(対称的ではあるが)構図や画面展開、そして表現様式的には本作と同じ頃に制作された(本作同様、画家の代表作である)ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵される『カードのお城(トランプの城)』に類似しているものの、柔和な光の描写や調和的な色彩表現は特に優れた出来栄えを示しており、本作の中で最も色調の強い素描帳の薄い青緑色や、素描帳から垂れ下がる太紐の赤色は色彩的アクセントとしての効果を絶妙に発揮している。

関連:ベルリン国立美術館所蔵 『若い素描家(素描の練習)』


【全体図】
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品と格調の高さを感じさせる若き素描家の表情。画家が風俗画制作で大きな影響を受けたオランダなど北方絵画の伝統的な画題でもある本画題≪若い素描家≫を描いた作品は2点存在し、パリのサロンへと出品された本作が最初のヴァージョンで、その後に制作されたもう1点の『若い素描家(素描の練習)』は現在、ベルリン国立美術館に所蔵されている。



【格調の高さを感じさせる素描家の表情】
ナイフで丁寧に削られる素描用の筆記具。シャルダンの単身人物画の大きな特徴である静謐な雰囲気の中で、左手で持つ筆記具の柄の部分に視線を落とし、右手のナイフで丁寧に柄を削る素描家の初々しく誠実な表情は画家の手がけた人物画の中でも品と格調の高さを感じさせる。



【ナイフで丁寧に削られる素描用の筆記具】
本作の柔和な光の描写や調和的な色彩表現。本作に描かれる素描家の柔らかい心情や感情表現、そして落ち着いた振る舞いも本作の大きな見所であるほか、本作の中で最も色調の強い素描帳の薄い青緑色や、素描帳から垂れ下がる太紐の赤色は色彩的アクセントとしての効果を絶妙に発揮している。



【柔和な光の描写や調和的な色彩表現】

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