Description of a work (作品の解説)
2008/11/20掲載
Work figure (作品図)
■ 

カナル・グランデのレガッタ(大運河でのレガッタ)


(Regata sul Canal Grande) 1730-35年
77×126cm | 油彩・画布 | ウィンザー城王室コレクション

18世紀の欧州において最も重要な景観画家(風景画家)のひとりであるカナレット随一の代表作『カナル・グランデのレガッタ(大運河でのレガッタ)』。本作は同時期に手がけられた『キリスト昇天祭の日の御座舟の帰還』同様、画家の故郷ヴェネツィアの大運河の情景を描いた14点から構成される連作の中の1点で、大運河でおこなわれる大規模なゴンドラの競漕の情景を描いた作品である。画面中景には、競漕をおこなうゴンドラが、画面前景にはそれを観戦するヴェネツィアの独自的なカーニバルの衣服を着た人々を乗せたゴンドラが配されている。画面左端にはマッキナと呼ばれる豪華に装飾された仮説の建物が描かれており、掛けられる大旗には当時の統領カルロ・ルッジーニの紋章まで明確に描き込まれている。さらに大運河を挟んで画面左右に描かれる建物のバルコニーには大勢の観客が描かれており、その圧倒的な写実的描写からは歓声まで聞こえてくるようである。本作の最も注目すべき点は、やはりこの並外れた写実性を感じさせる景観描写と大気的な表現にある。やや陰影を強めた光彩描写を用いて表現された競漕の情景は、まるで観る者が観衆と共に観戦しているかのような錯覚さえ受けるほどリアリティに溢れている。カナレットの優れている点は、このような非常に高度な技術を持っていても、単なる写実的描写に陥ることなくドラマチック性や叙情性をも兼ね備えた、景観画におけるひとつの頂点を感じさせる作品を制作している点にあり、それは今でも色褪せることなく人々を感動し続けているのである。


【全体図】
拡大表示
画面前景に描かれるゴンドリエーレ。本作は同時期に手がけられた『キリスト昇天祭の日の御座舟の帰還』同様、画家の故郷ヴェネツィアの大運河の情景を描いた14点から構成される連作の中の1点である。



【画面前景に描かれるゴンドリエーレ】
競漕に参加する装飾されたゴンドラ。大運河でおこなわれる大規模なゴンドラの競漕の情景が描かれる本作の最も注目すべき点は、やはり並外れた写実性を感じさせる景観描写と大気的な表現にある。



【競漕に参加する装飾されたゴンドラ】
バルコニーから観戦する民衆たち。カナレットの優れている点は非常に高度な技術を持っていても、単なる写実的描写に陥ることなくドラマチック性や叙情性をも兼ね備えた、景観画におけるひとつの頂点を感じさせる作品を制作している点にある。



【バルコニーから観戦する民衆たち】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ