Description of a work (作品の解説)
2008/11/04掲載
Work figure (作品図)
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キリスト昇天祭の日の御座舟の帰還

 1730-35年頃
(Ritorno del bucintoro al Molo nel giorno dell'Ascensione)
76.8×125.4cm | 油彩・画布 | ウィンザー城王室コレクション

18世紀欧州随一の景観画家カナレットの代表的な作例のひとつ『キリスト昇天祭の日の御座舟の帰還』。本作は画家の故郷ヴェネツィアの大運河の情景を描いた14点から構成される連作の中の1点で、ヴェネツィアで「海と結婚の日(センサの祭り)」とも呼称される≪キリスト昇天祭≫で最も感動的な場面のひとつである≪御座舟の帰還≫を描いた作品である。この「海と結婚の日」は997年にヴェネツィア共和国の基礎を築いたピエトロ・オルセオロ二世がイストリアとダルマツィアを獲得した記念として始められたとされ、有名なクライマックスの結婚の証として金の指輪を海に投げ入れるという行事は、1177年、神聖ローマ皇帝フリードリヒ一世との歴史的な調停に貢献したヴェネツィア共和国へ、アドリア海の覇権の象徴としてローマ教皇アレクサンデル三世が指輪を贈ったことに由来している。画面右側からは本祭事の主役となる総督(統領)が乗った豪華なブチントーロが登場しており、その周囲には複数のゴンドラが描かれている。画面手前の近景にはこの祭事の見物人などを乗せた小さな小船が狭い間隔で配されており、観る者も≪御座舟の帰還≫に参加しているかのような感覚を与える。また遠景となる街並みとしてヴェネツィアの象徴的存在であるサン・マルコ大聖堂と時計塔、そして図書館や造幣局などが細密な筆致で描き込まれている。カナレットは本場面≪御座舟の帰還≫を画題とした景観画(風景画)を生涯の中で数多く手がけているが、ヴェネツィア絵画の熱心な収集家のひとりであった英国のスミス領事が手に入れた本作は、その初期の代表的な作品として広く知られている。


【全体図】
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本祭事の主役となる総督(統領)が乗った豪華なブチントーロ。本作はヴェネツィアの大運河の情景を描いた14点から構成される連作の中の1点で、ヴェネツィアで「海と結婚の日(センサの祭り)」とも呼称される≪キリスト昇天祭≫で最も感動的な場面のひとつである≪御座舟の帰還≫を描いた作品である。



【総督が乗った豪華なブチントーロ】
本祭事の見物人などを乗せた小さな小船。画面手前の近景にはこの祭事の見物人などを乗せた小さな小船が狭い間隔で配されており、観る者も≪御座舟の帰還≫に参加しているかのような感覚を与える。



【見物人などを乗せた小さな小船】
細密な筆致で描き込まれる街並み。カナレットは本場面≪御座舟の帰還≫を画題とした景観画(風景画)を生涯の中で数多く手がけているが、ヴェネツィア絵画の熱心な収集家のひとりであった英国のスミス領事が手に入れた本作は、その初期の代表的な作品として広く知られている。




【細密な筆致で描き込まれる街並み】

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