Description of a work (作品の解説)
2004/09/11掲載
Work figure (作品図)
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日の出

 (Lever du soleil) 1753年
321×270cm | 油彩・画布 | ウォーレス・コレクション

ロココ様式独特の軽快かつ繊細で優美な装飾性が存分に表現されているフランソワ・ブーシェの代表的な神話画のひとつ『日の出』。タピスリーの原画(下絵)として制作された本作は、共に制作された『日没』の対画であり、ギリシャ神話のアポロン説話(太陽神話)に典拠を得て、光明の神アポロンが四頭立ての戦車に駕して東の宮殿を出て、天の穹窿を横切り、西の涯へ向かう場面が描かれている(アポロンはしばしば太陽神ヘリオスと同一視され、本作の解釈もそれに基づいている)。画面中央には東の宮殿を出て上昇するアポロンと、自身が生み出した暁の明星が、光輝く天上へと導く曙(あけぼの)の女神アウロラが配されており、ブーシェ独特の軽やかで演劇的なその表現は、観る者にある種の高揚感と官能的な感覚を与える。特に曙の女神アウロラの表現は、バロックの巨匠グィド・レーニグエルチーノなど過去の偉大なる巨匠らも天井画(参照:グィド・レーニ作『アウロラ(曙)』、グエルチーノ作『アウロラ(曙)』)として描いているが、それらとは決定的に異なる軽快性と、甘美で官能的な肢体の美しさが際立っている。また二人のさらに上空には(諸説あるが)太陽神アポロンの双子の姉(妹という説もあり)月の女神アルテミスの姿が配されており、観る者を日の出(夜明け)の世界へと導いている。なお『日没』との対画となる本作ではあるが、絵画上の時間軸とは異なり、この『日の出』の方が後に制作されたことが知られている。

関連:対画 『日没』


【全体図】
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西の涯へ向かう為、四頭立ての戦車に乗る光明の神アポロン。アポロンは知性と道徳、秩序、律法を司り、古くから若く力強い美青年として表現された。またアポロンはしばしば太陽神ヘリオスと同一視され、本作の解釈もそれに基づいている。



【光明の神アポロン】
自身が生み出した暁の明星が輝く天へと導く曙(あけぼの)の女神アウロラ。アウロラの手にはアポロンを運ぶ馬車の手綱が握られており、バロックの巨匠グィド・レーニグエルチーノもこのアウロラを題材に天井画を描いている。



【曙の女神アウロラ】
天と地と海における権限を有し、祈りを捧げる人間にあらゆる状況における幸運をさずけるという、太陽神アポロンの双子の姉(妹という説もあり)月の女神アルテミスの姿。



【月の女神アルテミス】

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