Description of a work (作品の解説)
2004/09/11掲載
Work figure (作品図)
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日没

(Coucher du soleil) 1752年
321×270cm | 油彩・画布 | ウォーレス・コレクション

ロココを代表する画家フランソワ・ブーシェが生涯を通して描いたという神話画の傑作『日没』。タピスリーの原画(下絵)として制作された本作は、対画となる『日の出』と共にブーシェ作品を代表する神話画のひとつである。本作に描かれるのは、世界の海や川を生み出した水神オケアノスの流れを渡り、東の宮殿への帰路に着いた光明の神アポロンと、それを迎える海の女神テティスが意味する≪日没≫の場面である。ギリシャ神話のアポロン説話(太陽神話)に典拠を得ている本作で最も注目すべきは、大胆でありながら流麗で、官能性に溢れた(アポロンやテティスを始めとする)登場人物の描写にある。画面中央に配されるアポロンとテティスは(わざとらしいほど)大げさで演劇的な動きを見せ、互いを見つめている。アポロンは神話では毎朝、四頭立ての戦車に乗り、自分の住む東の宮殿を出発し、天の穹窿 (大空) を翔け、夕方、西の涯に到着した後、闇夜の中を黄金の杯に乗って海を航行し、東の宮殿に帰り着くと考えられており、このアポロンとテティスの表現に観る者は(恋人同士など)世俗的(人間的)な関係性を見出すのである。また画面上部の闇と夜を運ぶ暗黒の女神ヘカテの姿や海上のニンフらの卓越した表現、荒々しい波の描写なども注目すべき点のひとつである。なお『日の出』との対画となる本作ではあるが、時間軸とは異なり、この『日没』の方が最初に制作されたことが知られている。

関連:対画 『日の出』


【全体図】
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世界の海や川を生み出した水神オケアノスの流れを渡り、東の宮殿への帰路を辿ろうとする光明の神アポロン。アポロンは神話で毎朝、四頭立ての戦車に乗り、自分の住む東の宮殿を出発し、天の穹窿 (大空) を翔け、夕方、西の涯に到着した後、闇夜の中を黄金の杯に乗って海を航行し、東の宮殿に帰りつくと考えられた。



【帰路へつく光明の神アポロン】
光明の神アポロンを迎える海の女神テティス。ネレウスとドリスから生まれた50人の海の女神の中でも、絶世の美女として有名で、主神ユピテルも結婚を望んだとされている。



【アポロンを迎える海の女神テティス】
闇と夜を運ぶ暗黒の女神ヘカテの姿。しばしば月の光と夜の輝きを象徴する女神アルテミスと同一視されたヘカテや海上のニンフらの卓越した表現、荒々しい波の描写なども本作の注目すべき点のひとつである。



【闇と夜を運ぶ暗黒の女神ヘカテ】

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