Description of a work (作品の解説)
2006/02/11掲載
Work figure (作品図)
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キリストの遺骸の運搬(ボルゲーゼの十字架降下)


(Trasporto di Cristo morto (Deposizione Borghese)) 1507年
184×176cm | 油彩・板 | ボルゲーゼ美術館(ローマ)

ラファエロ初期の代表作『キリストの遺骸の運搬』。当時、有力家であったバリオーニ家の若者がペルージアで惨殺された追悼として、若者の母親アタランタ・バリオーニの依頼によりサン・フランチャスコ・アル・プラート聖堂バリオーニ家礼拝堂のために制作された本作は、磔刑に処され死した主イエスの遺骸を岩墓へ埋葬する場面≪キリストの埋葬≫を描いたもので、本作においてラファエロは、惨殺された若者を死した主イエスに、悲しみのあまりに気を失う聖母マリアを若者の母親アタランタ・バリオーニに重ね描いている。また本作には全く生気の感じられないイエスの亡骸の表現や身を捩じらせ倒れこむ聖母マリアの運動性にミケランジェロの強い影響が指摘されているほか、色彩豊かに描かれる情緒的な背景描写や古典の引用を思わせる登場人物の表現など、随所に人々を魅了するラファエロ独自の高度で洗練された表現が感じられ、教皇ユリウス2世がすでに名声を得ていたラファエロをローマへと呼び寄せるための決定的な要因のひとつとなった。なお本作は『ボルゲーゼの十字架降下』とも呼ばれており、プレデッラ(基底部)には現在ヴェティカン宮美術館が所蔵している『信仰/慈愛/希望』が配されていた。

関連:ヴェティカン宮美術館所蔵『信仰/慈愛/希望』


【全体図】
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磔刑に処され死した主イエス。全く生気の感じられないイエスの亡骸の表現や身を捩じらせ倒れこむ聖母マリアの運動性にミケランジェロの強い影響が指摘されており、残される習作素描からはミケランジェロのほか、師ペルジーノマンテーニャ、シニョレッリなどを意識していたことがうかがえる。



【磔刑に処され死した主イエス】
主イエスの亡骸に寄り添うマグダラのマリア。色彩豊かに描かれる情緒的な背景描写や古典の引用を思わせる登場人物の表現など、随所に人々を魅了するラファエロ独自の高度で洗練された表現が感じられ、教皇ユリウス2世がすでに名声を得ていたラファエロをローマへと呼び寄せるための決定的な要因のひとつとなった。



【寄り添うマグダラのマリア】
主イエスの遺骸を運搬する聖ニコデモ。主題≪キリストの埋葬≫では、通常、上半身はアリマタヤのヨセフが、下半身はニコデモが持つとされる。また本作は『ボルゲーゼの十字架降下』とも呼ばれており、プレデッラ(基底部)には現在ヴェティカン宮美術館が所蔵している『信仰/慈愛/希望』が配されていた。



【主イエスの遺骸を運搬する聖ニコデモ】

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