Description of a work (作品の解説)
2010/05/03掲載
Work figure (作品図)
■ 

エンデュミオンの眠り(月の効果)


(Le Sommeil d'Endymion) 1791年
198×261cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀後半を代表するフランスの画家アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオゾンの傑作『エンデュミオンの眠り(月の効果)』。1789年にローマ賞を受賞し、その翌年から滞在していたローマで1791年から制作され、1793年のサロン出品時には大きな衝撃となった本作は、ギリシア神話に登場する類稀な美貌の羊飼い≪エンデュミオン≫を主題に制作された作品である。元々ローマ賞受賞者のイタリア留学における作品制作義務の一環として構想された本作は、エンデュミオンに恋をした月の女神セレネが、その美貌を永遠のものにしようとこの羊飼いに不老不死を授けるものの(※不死を与えたのはユピテルとする説もある)、エンデュミオンは永遠の眠りに落ちてしまい、以後月の女神セレネは毎夜眠るエンデュミオンを抱擁(愛撫)するという場面を描いた作品であるが、本作には師ダヴィッドとは明確に異なるジロデ独自の様式を見出すことができる。画面中央やや右側に配される羊飼いエンデュミオンは端整な姿態を柔らかく伸ばし、その身体で優美な曲線を描きながら深く眠っている。この弛緩的で官能性が漂う両性具有的な男性裸体像の表現は、当時の新古典主義の英雄的で男性的な様式美とは全く異なりながらも非常に知的な美意識を感じることができる。またエンデュミオンを包む込む月の女神セレネのどこか冷麗な光の強い明暗対比は、伝統的な明暗法の再解釈として高く評価され、その斬新性や独創性と共にジロデの画家としての成功の大きな要因のひとつとなった。


【全体図】
拡大表示
深く眠るエンデュミオンの美しい姿。元々ローマ賞受賞者のイタリア留学における作品制作義務の一環として構想された本作は、月の女神セレネが、その美貌を永遠のものにしようとこの羊飼いに不老不死を授けるものの、永遠の眠りに落ちてしまったエンデュミオンの元に毎夜訪れ抱擁(愛撫)するという場面を描いた作品である。



【深く眠るエンデュミオンの美しい姿】
柔らかく弛緩する官能的な肉体。本作の弛緩的で官能性が漂う両性具有的な男性裸体像の表現は、当時の新古典主義の英雄的で男性的な様式美とは全く異なりながらも非常に知的な美意識を感じることができる。



【柔らかく弛緩する官能的な肉体】
エンデュミオンの対角線上に配される天使。エンデュミオンを包む込む月の女神セレネのどこか冷麗な光の強い明暗対比は、伝統的な明暗法の再解釈として高く評価され、その斬新性や独創性と共にジロデの画家としての成功の大きな要因のひとつとなった。



【対角線上に配される天使の姿】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ