Introduction of an artist(アーティスト紹介)
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フランソワ=ユベール・ドルーエ François-Hubert Drouais
1727-1775 | フランス | ロココ美術・新古典主義




18世紀フランスのロココ様式と初期新古典主義の過渡期に活躍した肖像画家。滑らかで色艶やかな描写を用いて貴族的な優美性と自然主義的写実精神を巧みに融合させた肖像画で名を馳せる。特に子供の無邪気さや穏やかな生命力を捉えた豊かな表現は、王侯貴族を始めとした上流階級層に好まれた。1727年、細密画家の息子(※父の名もユベール・ドルーエ)としてパリに生まれ、幼い頃から父より絵画の手ほどきを受ける。その後青年期にカルル・ヴァン・ローシャルル=ジョゼフ・ナトワールフランソワ・ブーシェなど盛期ロココ様式時代の名だたる巨匠らの許で絵画の修行をおこない、ロココ的絵画様式を会得。1758年に王立絵画・彫刻アカデミーへ入会し、以後、ブルボン朝ルイ王家の一族やポンパドゥール夫人、デュ・バリー夫人など当時のフランス最高権力者たちを顧客とするなど、老いたジャン=マルク・ナティエの後を継ぐ形で宮廷肖像画家として絶大な人気を博した。1775年、パリで死去。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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アルトワ伯爵と妹クロチルドの肖像

 1763-64年
(Portrait du comte d'Artois et sa sœur Madame Clotide)
129×97cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀のフランスで活躍した肖像画家フランソワ=ユベール・ドルーエを代表する作品のひとつ『アルトワ伯爵と妹クロチルドの肖像』。王家コレクションの名目で同家から注文を受けたドルーエが1763年に制作した本作は、後にブルボン朝最後のフランス国王シャルル10世として即位する、ルイ16世の弟≪アルトワ伯爵(シャルル・フィリップ・ド・フランス)≫とその妹≪クロチルド≫の幼少期の姿を描いた肖像画作品である。画面中央に描かれる幼いアルトワ伯爵とクロチルドは柔らかい笑みを浮かべながら観る者へと視線を向けており、両者の顔の印象的な黒い瞳には子供らしい無垢な生命感が強く感じられる。このドルーエ独特の瞳の表現に関して当時の著名な批評家ディドロは「彼(ドルーエ)は子供の眼の中に穏やかで軽やか、それでいて瑞々しい光の反射を描く。そこには子供らしい透明な生命の息吹が描き込まれている」と評している(※ただしディドロはドルーエの描く肖像画のあまりにも白い肌を「白亜のような」と批判もしている)。また穏やかで優美な田園風景の中に描かれるアルトワ伯爵とクロチルドの姿態や全体の構図にはやや作為的な印象を受けるものの、細部まで緻密に描き込まれた衣服や装飾品の描写には眼を見張るものがある。さらに本作で注目すべき点は、ロココ的で華麗な優美性・の中に感じられる感傷性と人工性にあり、この感傷性と人工性には新古典主義的様式の萌芽を見出すことができる。なお本作は制作された1763年のサロンへ出品され、殆ど全ての批評家から絶賛されたと伝えられている。

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【全体図】
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Work figure (作品図)


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