Description of a work (作品の解説)
2007/12/19掲載
Work figure (作品図)
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サーカス

 (Baignade, Asnières) 1890-1891年
185.5×152.5cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

新印象派の画家ジョルジュ・スーラの代表的な作例のひとつであり、夭折した画家の遺作ともなった作品『サーカス』。1891年に開催された第七回アンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会、スーラら新印象派の画家たちが創設)に未完成ながら出品された本作は、(おそらく)当時パリでおこなっていたフェルナンド・サーカスの興業風景を描いた作品である(画家は数年前にも同画題『サーカスの客寄せ』を描いている)。本作で最も注目すべき点はそれまでの画家には見られなかった人物の動的な運動性と躍動感の表現への挑戦にある。画面中央に配される女性の曲馬師や白馬、画面前景に大胆に配される道化師(ピエロ)、右端に配される鞭を持った黒服の男、そしてサーカス小屋の丸い壁など構成される画面は曲線を多用されており、画面の中で弾むように躍動し、サーカスの愉快な雰囲気を見事に捉えている。さらに明確になる輪郭線や、的確な人物の大きさを無視した空間の非再現性(曲馬師などは客席の観客と比較してみて明らかに巨大である)、それによって生み出される平面的な(絵画としての)装飾性など画家の様式的変化が如実に示されている。上段から下段に向けて富裕層が多くなるなど、社会的階級が明確に区別される客席の観客部分を含めて、青と(ハイライトとしても使用される)黄色、橙色、そして壁や白馬の白色の四系統の色彩で主に構成される本作の全体的に照らされる光源も注目点である。なお本作が所蔵されるオルセー美術館には最終的な習作(『習作:サーカス』)も所蔵されている。

関連:オルセー美術館所蔵 習作『サーカス』


【全体図】
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曲線が多用される女曲馬師。夭折した画家の遺作ともなった本作は1891年に開催された第七回アンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会、スーラら新印象派の画家たちが創設)に未完成ながら出品された。



【曲線が多用される女曲馬師】
大胆に配される前景の道化師(ピエロ)。この道化師や女曲馬師、右端に配される鞭を持った黒服の男、そしてサーカス小屋の丸い壁など構成される画面は曲線を多用されており、画面の中で弾むように躍動している。



【大胆に配される前景の道化師】
客席でサーカスを楽しむ観客。明確になる輪郭線や、的確な人物の大きさを無視した空間の非再現性(曲馬師などは客席の観客と比較してみて明らかに巨大である)、それによって生み出される平面的な(絵画としての)装飾性など画家の様式的変化が本作では如実に示されている。



【客席でサーカスを楽しむ観客】

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