Description of a work (作品の解説)
2007/11/29掲載
Work figure (作品図)
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異国風景 − 原始林の猿


(Les singes dans la foret viêrge) 1910年
130×162cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館

19世紀末頃から20世紀初頭にかけて活躍した素朴派を代表する画家アンリ・ルソー作『異国風景 − 原始林の猿』。本作に描かれるのは、題名に『異国風景』と付けられているよう、画家が1904年頃から精力的に取り組んだ画題である異国情緒に溢れた密林(熱帯)風景で、本作はルソー随一の代表作『』と共に、最晩年に制作された作品である。鮮やかな熱帯植物や木々の緑色と青々とした空の見事な明瞭感は画家の作品の中でも特に際立っており、観る者を強く惹きつける。さらに三匹の黄毛の猿が連なりぶら下がる樹木に実る柑橘類を思わせる橙色の果実のほか、画面中央の赤味の強い花々や、画面の左右に配される純白の花々は画面内へ絶妙なアクセントをもたらしている。また画面中央ややみぎよりには一匹の白毛の猿が橙色の果実を口元へ運んでいる。本作の各構成要素はどれも画家の個性に富んでおり、生き生きと描かれていながらも、画面全体が醸し出す雰囲気や観る者が受け取る印象は静寂とある種の幻想性に包まれている。この作品から伝わる独特な感覚こそルソー作品に通じる魅力であり、本作はそれが顕著に感じられる代表的な作品のひとつでもある。なお画家は本作と同時期に、内容は全く異なる夕暮れ時の密林(熱帯)風景の中で猿(ゴリラ)とインディアンが格闘する場面を描いた同名の作品『異国風景−猿とインディアン(猿とネイティブアメリカン)』を制作しており、現在その作品はバージニア州(ワシントン)のポール・メロン・コレクションに所蔵されている。

関連:『異国風景−猿とインディアン(猿とネイティブアメリカン)』


【全体図】
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橙色の果実を口元へ運ぶ白毛の猿。本作に描かれるのは、題名に『異国風景』と付けられているよう、画家が1904年頃から精力的に取り組んだ画題である異国情緒に溢れた密林(熱帯)風景で、本作はルソー随一の代表作『』と共に、最晩年に制作された作品である。



【橙色の果実を口元へ運ぶ白毛の猿】
橙色の果実が実る樹木へぶら下がる毛の猿。本作の各構成要素はどれも画家の個性に富んでおり、生き生きと描かれていながらも、画面全体が醸し出す雰囲気や観る者が受け取る印象は静寂とある種の幻想性に包まれている。



【樹木へぶら下がる毛の猿】
鮮やかな熱帯植物や木々の緑色。画家は本作と同時期に、内容は全く異なる夕暮れ時の密林(熱帯)風景の中で猿(ゴリラ)とインディアンが格闘する場面を描いた同名の作品『異国風景−猿とインディアン(猿とネイティブアメリカン)』を制作している。



【鮮やかな熱帯植物や木々の緑色と】

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