Description of a work (作品の解説)
2007/12/16掲載
Work figure (作品図)
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田舎の結婚式(婚礼)

 (La noce) 1905年
163×114cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

19世紀末頃から20世紀初頭にかけて活躍した素朴派の画家アンリ・ルソーの代表的な肖像画かつ集団人物画『田舎の結婚式(婚礼)』。画家とは直接的にも間接的にも関係は認められないものの、古いアルバムの記念写真(ポストカード)を基にして制作された本作は、田舎でおこなわれる婚礼の儀式≪結婚式≫の情景を描いた作品であり、画家は本作を制作した1905年のアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)に出品している。全体的な画面構築・構図は記念写真(ポストカード)とほぼ同一な、古典的な様式で描かれているものの、花嫁の右隣の人物がルソー自身の姿で描かれているほか、立ち並ぶ樹木や画面下部の黒い犬など画家独自の要素も加えられており、単なる集団人物画とは一線を画した、(自身の結婚を噛み締めるかのような)心情・心理的な画家の内面を見出すことができる。また多数の研究者や批評家らも指摘しているよう、本作に描かれる人物らの正面性や平面性、素朴で実直な精神性は厳格な宗教画にも似た感覚を観る者に与えている。描写手法的にも明確な輪郭線や、画面の中で際立つ中央に配される花嫁が身に着ける花嫁衣装の白色、地面や木々の葉などの緑色、雲の無い空のやや重厚で寒々しい青色などを始めとした冷感な色彩、構成要素の圧倒的な存在感、作品全体から醸し出される非現実世界的な雰囲気など画家独特の個性的な様式が良く表れている。


【全体図】
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描かれる人物らの正面性や平面性。画家とは直接的にも間接的にも関係は認められないものの、古いアルバムの記念写真(ポストカード)を基にして制作された本作は、田舎でおこなわれる婚礼の儀式≪結婚式≫の情景を描いた作品である。



【描かれる人物らの正面性や平面性】
厳格な宗教画にも似た感覚を観る者に与える素朴で実直な精神性。制作した1905年のアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)に出品された本作は、単なる集団人物画とは一線を画した、心情・心理的な画家の内面を見出すことができる。



【宗教画にも似た素朴で実直な精神性】
画家独自の要素として画面下部に描かれた黒い犬。明確な輪郭線や、冷感な色彩、構成要素の圧倒的な存在感、画面全体から醸し出される非現実世界的な雰囲気など画家独特の個性的な様式が良く表れている。



【画面下部に描かれた黒い犬】

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