Description of a work (作品の解説)
2007/09/17掲載
Work figure (作品図)
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眠れるジプシー女

 (La Bohémienne endormie) 1897年
129×200cm | 油彩・画布 | ニューヨーク近代美術館

19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した素朴派を代表する画家アンリ・ルソーの代表作『眠れるジプシー女』。1897年のアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)へ出品された作品である本作に描かれるのは、夜の砂漠で深い眠りにつくジプシー女とそれに寄る一匹の獅子(ライオン)の姿で、19世紀アカデミーを代表する画家ジェロームの作品に典拠を得て制作された。ルソーは己が抱えていた多額の借金の返済を目論み、故郷ラヴァルの市長に本作の寄贈(買取)の嘆願する手紙(本作品の解説も記されている)を送っており、その手紙に記される画家自身の言葉によれば「マンドリンを奏で放浪する黒人の女(ジプシー)が、水差しを傍らに、疲れ果て深く眠っている。その時、一匹の獅子(ライオン)が通りかかり彼女を見つけ匂いを嗅ぐが、決して喰いつくわけではない。それは非常に詩的な月の光のせいなのだ。」と獅子(ライオン)とジプシー女の関係性を解説している。本作が制作された当時、殆どのルソーの作品は評価されておらず(稚拙であると嘲笑の的ともされていた)、この画家の目論み(本作の寄贈)も叶わなかった。本作に示される自由で前衛発想的な表現や、綿密に計算されたことが伺える線や色彩、形態の素直で的確な描写は、画家の全作品の中でも特に秀逸であり、今も観る者の眼を強く惹きつける。画家の死後、長く行方が知れなかったが1923年に発見され、現在はサイモン・グッゲンハイム夫人の寄贈によりMoMAが所有している。


【全体図】
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夜の砂漠で深い眠りにつくジプシー女。本作に描かれるのは、夜の砂漠で深い眠りにつくジプシー女とそれに寄る一匹の獅子(ライオン)の姿で、19世紀アカデミーを代表する画家ジェロームの作品に典拠を得て制作された。



【夜の砂漠で深い眠りにつくジプシー女】
女の匂いを嗅ぐ獅子(ライオン)。画家自身の言葉によれば「放浪する黒人の女が、水差しを傍らに、疲れ果て深く眠っている。その時、一匹の獅子が通りかかり彼女を見つけ匂いを嗅ぐが、決して喰いつくわけではない。それは非常に詩的な月の光のせいなのだ。」と獅子とジプシー女の関係性を解説している。



【女の匂いを嗅ぐ獅子(ライオン)】
詩的な光を放つ(反射する)月。ルソーは己が抱えていた多額の借金の返済を目論み、故郷ラヴァルの市長に本作の寄贈(買取)の嘆願する手紙(本作品の解説も記されている)を送っているが、その目論みが叶うことはなかった。



【詩的な光を放つ(反射する)月】

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