Description of a work (作品の解説)
2008/03/25掲載
Work figure (作品図)
■ 

髪長き水浴の乙女(長い髪の浴女)


(Baigneuse aux cheveux longs) 1895年
油彩・画布 | 82×65cm | オランジュリー美術館

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール1890年代を代表する裸婦像作品のひとつ『髪長き水浴の乙女(長い髪の浴女)』。本作に描かれるのはルノワールが生涯の中、特に枯渇時代後の1890年代後半から最晩年まで数多く手がけた≪水浴の裸婦≫を画題とした作品のひとつである。おそらくは水浴を終え、水から上がろうとするこの女性(乙女)の膨よかで官能的な姿態の表現はルノワールの理想とする女性美の典型であり、観る者の目を奪うばかりである。また本作の抑制的な赤味を帯びた暖黄色や緑色などはバルビゾン派の画家カミーユ・コローの影響であるほか、虹色の色調、簡素かつおぼろげな空間構成、森林による背景展開、穏健な色彩の階調、そして画面全体を包み込むかのような暖かで優しい光の表現などには、印象主義的な表現に疑問を抱き、それを超えんと、もがき苦しんだ末に得ることができた画家円熟期(1890年代後半)の作品の特徴が良く表れている。水浴の女性の姿態は、画面中央の白布を持つ手を中心にして、緩やかな曲線を放射的に形成しており、女性の身体特有の柔らかさをより強調する効果を生み出している。また決して意識的ではない自然的な女性の仕草や桃色に染まる頬など顔の表情、腰のあたりまで伸びる美しいブロンドの髪の表現、人物と背景が溶け合うかのような独特の筆触による描写に、ルノワール特有の匂い立つような甘美で艶かしい官能性を感じることができる。


【全体図】
拡大表示
桃色に染まる水浴の女性の頬。本作はルノワールが生涯の中、特に枯渇時代後の1890年代後半から最晩年まで数多く手がけた≪水浴の裸婦≫を画題とした作品のひとつで、水から上がろうとするこの女性(乙女)の膨よかで官能的な姿態の表現はルノワールの理想とする女性美の典型である。



【桃色に染まる水浴の女性の頬】
柔らかな光に包まれる女性の姿態。本作の抑制的な赤味を帯びた暖黄色や緑色、虹色の色調、簡素かつおぼろげな空間構成、森林による背景展開、穏健な色彩の階調、そして画面全体を包み込むかのような暖かで優しい光の表現などに画家円熟期(1890年代後半)の作品の特徴が良く表れている。



【柔らかな光に包まれる女性の姿態】
穏健な色彩の階調による背景の処理。水浴の女性の姿態は、画面中央の白布を持つ手を中心にして、緩やかな曲線を放射的に形成しており、女性の身体特有の柔らかさをより強調する効果を生み出している。



【穏健な色彩の階調による背景の処理】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ