Description of a work (作品の解説)
2007/11/07掲載
Work figure (作品図)
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草原の坂道(夏の田舎道)

1874年
(Chemin montant dans les hautes herbes)
60×74cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール印象主義時代に手がけた風景画の中の最も代表的な作品『草原の坂道(夏の田舎道)』。しばしばクロード・モネによる『アルジャントゥイユのひなげし』との関連性も指摘されている本作は、夏のアルジャントゥイユ郊外の坂道を日傘を差した母娘らが下ってくる姿を描いた作品で、「自然は芸術家を孤独に追い詰める。私は人間の中に身を置きたい。」と自ら述べているよう、作品の制作活動においては人物画が圧倒的に多く、風景画が比較的少ない画家の風景画作品の中でも特に代表作として知られている。修行時代に会得したロココ美術様式に通じる独特の風景描写は、他の画家のような、印象主義様式≪筆触分割≫による形体描写や力説的で特異な構図を用いることよりも、色彩による形象の表現が大きな特徴である。画面中央に通る坂道と、娘を先頭に赤い日傘を差し坂を下ってくる母親の姿は、輝くような光と繊細に配置された色彩と画家独自の筆触によって周囲の風景と溶け合うかのように描かれており、観る者はその表情を窺い知ることができない。しかしこの情景に描かれる色彩や全体の雰囲気そのものが、この母娘らの親しみやすい暖かな様子を伝えている。またひなげしや日傘に用いられている赤色は、画面内へ疎らに配される木々や草花の濃緑色と対比しており、黄色味を帯びた画面の中で見事なアクセントとして効果を発揮しているほか、画面上部には母娘らに続く別の人物も描かれている。

関連:クロード・モネ作 『アルジャントゥイユのひなげし』


【全体図】
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アルジャントゥイユ郊外の坂道を下る母娘。色彩による形象の表現が本作の大きな特徴で、画面中央に通る坂道と、娘を先頭に赤い日傘を差し坂を下ってくる母親の姿は、輝くような光と繊細に配置された色彩と画家独自の筆触によって周囲の風景と溶け合うかのように描かれている。



【アルジャントゥイユの坂道を下る母娘】
画面上部に描かれる母娘らに続く別の人物。本作は夏のアルジャントゥイユ郊外の坂道を日傘を差した母娘らが下ってくる姿を描いた作品で、作品の制作活動においては人物画が圧倒的に多く、風景画が比較的少ない画家の風景画作品の中でも特に代表作として知られている。



【画面上部の母娘らに続く別の人物】
夏に花咲かせるひなげしの赤色。この情景に描かれる色彩や全体の雰囲気そのものが、この母娘らの親しみやすい暖かな様子を伝えているほか、ひなげしや日傘に用いられている赤色は、疎らに配される木々や草花の濃緑色と対比しており、黄色味を帯びた画面の中で見事な効果を発揮している。



【夏に花咲かせるひなげしの赤色】

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