Description of a work (作品の解説)
2008/03/04掲載
Work figure (作品図)
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バレリーナ(踊り子)

  (Danseuse) 1874年
142×93cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールが手がけた代表的な風俗画作品のひとつ『バレリーナ(踊り子)』。1874年に開催された第一回印象派展への出品作である本作に描かれるのは、クラシック・チュチュ(典型的なバレエの衣装)を身に着けたバレエの踊り子の少女である。同展への出品時、ルイ・ルロワなど当時の批評家たちから「なんという下手なデッサンに基づいているのだろう。踊り子の足などチュチュと同化したように弛んでいるではないか」と酷評を受けた本作ではあるが、印象主義的な技法と、ルノワールの描く対象の変化が顕著に示されている。ルノワール同様、印象派の大画家であるエドガー・ドガも同画題(バレリーナ)の作品(例:ダンス教室(バレエの教室))を数多く手がけていることが知られているが、本作はそれとは全くアプローチが異なる。ドガがあくまでも確かなデッサン(形態描写)に基づいた自然主義的な表現で展開しているのに対し、ルノワールはそれより(やや抑制的な)色彩と形象そのものの融合や、バレリーナの少女のあどけなく無垢な美しさを表現することを目指しているようである。自然的とは言えない、いかにもポーズを取ったという感じの形式的(意識的)な本作のバレリーナの少女は、観る者と視線を交わすかのようにこちらを振り向き、その身に着けるクラシック・チュチュはおぼろげな背景や、(酷評された)色白の肌と色彩が混ざり合うように透き通っている。それらを表現する画家の筆触は軽やかかつ流動的であり、少女(そしてバレリーナ)のイメージがよく伝わってくる。本作に見られる調和的な色彩描写や、心象を反映なするかのような柔らかな表現、画題としての女性像(少女像)への高い関心は、後のルノワールの作品展開を考察する上でも特に注目すべき点である。


【全体図】
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観る者と視線を交わすバレリーナの少女。1874年に開催された第一回印象派展への出品作(その時は酷評された)である本作に描かれるのは、クラシック・チュチュ(典型的なバレエの衣装)を身に着けたバレエの踊り子の少女である。



【観る者と視線を交わすバレリーナ】
腰と腰帯に当てられる少女の手。ドガがあくまでも確かなデッサン(形態描写)に基づいた自然主義的な表現で展開しているのに対し、ルノワールはそれより(やや抑制的な)色彩と形象そのものの融合や、バレリーナの少女のあどけなく無垢な美しさを表現することを目指しているようである。



【腰と腰帯に当てられる少女の手】
背景と混ざり合うかのような形態と色彩表現。本作のバレリーナの少女は、観る者と視線を交わすかのようにこちらを振り向き、その身に着けるクラシック・チュチュはおぼろげな背景や、(酷評された)色白の肌と色彩が混ざり合うように透き通っている。



【背景と混ざり合うかのような表現】

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