Description of a work (作品の解説)
2009/03/13掲載
Work figure (作品図)
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大きな裸婦

 (Nu sur les coussins) 1907年
70×155cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

19世紀後半に一世を風靡した印象派の中でも最も有名な画家のひとりピエール=オーギュスト・ルノワール晩年期を代表する裸婦作品のひとつ『大きな裸婦』。ルノワールの持病であったリュウマチ性関節炎や顔面神経痛が悪化し、体調が著しく衰えていた頃に制作された本作は、画家がそれまでに幾多も手がけてきた≪横たわる裸婦≫を画題とした作品で、1903年頃からルノワールはクッションを背にした横たわる裸婦の連作をしており、本作はその中の最も完成度の高い作品として広く知られている。当時、両手が麻痺しつつあった老体であるにも関わらず、本作の画面から放たれる輝きを帯びた色彩と豊潤な官能性の表現は圧巻の一言である。横長の画面の中央へ配された僅かな白布を股に挟みながら横たわる裸婦は、緊張の色をまるで感じさせない非常に自然体な姿態で描かれており、観る者に柔らかな安心感を与えている。また同時に豊満な裸婦の身体からはルノワール作品特有の肉体的女性美が強く感じられ、画家の裸婦に対する強い執着を見出すことができる。さらに裸婦のやや澄ました表情には古典的な美の系譜を辿ることができ、本作が制作された1907年当時は一部の批評家などから新古典主義の大画家ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルとの関連性が話題となっていた。なおルノワールは本作を手がけた2年後となる1909年にスペイン・バロック絵画の巨匠ディエゴ・ベラスケスの傑作『鏡を見るヴィーナス』の影響を顕著に感じさせる裸婦作品『後ろ姿の横たわる裸婦』を手がけている。

関連:オルセー美術館所蔵 『後ろ姿の横たわる裸婦』


【全体図】
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横たわる裸婦のやや澄ました表情。本作は画家がそれまでに幾多も手がけてきた≪横たわる裸婦≫を画題とした作品で、1903年頃からルノワールはクッションを背にした横たわる裸婦の連作をしており、本作はその中の最も完成度の高い作品として広く知られている。



【横たわる裸婦のやや澄ました表情】
豊潤な官能性を感じさせる裸婦の身体。輝きを帯びた色彩と豊潤な官能性の表現が圧巻である本作の豊満な裸婦の身体からはルノワール作品特有の肉体的女性美が強く感じられ、画家の裸婦に対する強い執着を見出すことができる。



【官能性を感じさせる裸婦の身体】
自然体に組まれた裸婦の脚。横長の画面の中央へ配された僅かな白布を股に挟みながら横たわる裸婦は、緊張の色をまるで感じさせない非常に自然体な姿態で描かれており、観る者に柔らかな安心感を与えている。



【自然体に組まれた裸婦の脚】

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