Description of a work (作品の解説)
2009/01/28掲載
Work figure (作品図)
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青衣の女(パリ女)


(La dame en bleu (La parisienne)) 1874年
160×106cm | 油彩・画布 | ウェールズ国立美術館

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールを代表する人物画作品のひとつ『青衣の女』。1874年に開催された第1回印象派展への出品作である本作に描かれるのは、ルノワールと親しくしていたオデオン座の舞台女優≪アンリエット・アンリオ≫である。画面のほぼ中心に描かれるアンリエット・アンリオはやや斜めに身体を傾けているものの、その顔は真正面を向き観る者と視線を交わらせている。本作の最も魅力的な部分のひとつであるアンリオの表情は、うっすらと笑みを浮かべているように柔らかく幸福感に溢れており、観る者を魅了する大きな瞳と愛くるしい口元など彼女の特徴を的確に掴んでいる。また本作の名称ともなっている鮮やかで気品漂う青色の衣服(ドレス)の、当時の流行に沿ったシルエットの優雅な曲線と軽々とした薄布の表現は秀逸の出来栄えを示している。さらにアンリオの巻かれた髪の毛とその上に品良く収まる帽子に代表される小粋な小物類の描写も見事の一言である。また色彩表現に注目しても、まるで水彩画のような瑞々しさを感じさせる衣服に用いられた青色の、光彩によって微妙に変化する多様な表情や、襟元や手首に用いられるレースの白色との色彩的対比はアンリオの印象を最も的確に反映しているかのようである。しばしば写実主義の大家ギュスターヴ・クールベや印象派の始祖エドゥアール・マネの影響が指摘されている本作ではあるが、第1回印象派展への出展時には『パリ女』と呼称されていたことからも分かるよう、本作には画家が抱いていた都会の典型的な女性像が示されている。

関連:『アンリオ夫人の肖像』


【全体図】
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観る者と視線を交わらせるオデオン座の舞台女優アンリエット・アンリオ。本作の最も魅力的な部分のひとつであるアンリオの表情は、うっすらと笑みを浮かべているように柔らかく幸福感に溢れており、観る者を魅了する大きな瞳と愛くるしい口元など彼女の特徴を的確に掴んでいる。



【観る者と視線を交わらせるアンリオ】
瑞々しさを感じさせる青色の衣服。本作の名称ともなっている鮮やかで気品漂う青色の衣服(ドレス)の、当時の流行に沿ったシルエットの優雅な曲線と軽々とした薄布の表現は秀逸の出来栄えを示しているほか、アンリオの頭上に品良く収まる帽子に代表される小粋な小物類の描写も見事の一言である。



【瑞々しさを感じさせる青色の衣服】
柔らかい陰影表現による衣服の皺の描写。しばしばギュスターヴ・クールベエドゥアール・マネの影響が指摘されている本作ではあるが、第1回印象派展への出展時には『パリ女』と呼称されていたことからも分かるよう、本作には画家が抱いていた都会の典型的な女性像が示されている。



【柔らかい陰影表現による衣服の描写】

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