Description of a work (作品の解説)
2008/07/08掲載
Work figure (作品図)
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飾り鉢で遊ぶ子供たち

 (Enfants à la vasque) 1886年
73×92cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

19世紀印象主義時代に活躍した女流画家ベルト・モリゾの愛らしい一枚『飾り鉢で遊ぶ子供たち』。パリのヴィルジュスト通りに面していたモリゾの家で制作された本作はモリゾ最愛の夫ウジェーヌ・マネとの間に生まれた愛娘ジュリーと、ヴィルジュストの家の管理人の娘であるマルト・ジヴォーダンをモデルに、二人の子供が飾り鉢で遊ぶ姿を描いた作品である。画面左部分に描かれる愛娘ジュリーは二本の桴のような棒を左手で握り締めながら腕を振り上げ、飾り鉢の中心に視線を向けている。一方、まだ幼いマルト・ジヴォーダンは身体の小ささから飾り鉢に凭れ掛かるように体重をかけ、手を鉢の中へと伸ばしながら(鉢の中で泳ぐ)金魚(又は赤い小魚)を弄り遊んでいる。この中国製の陶器の飾り鉢は義兄となる印象派の創始者エドゥアール・マネからの贈り物であることが知られており、モリゾは2年ほど前(1884年)に制作した『人形を抱く少女』にも植木を入れた形で登場させている。二人の背後(背景)には東洋的な屏風を思わせる衝立が描かれており、画面左端には小さな白い袋が下がっている。非常に愛らしい少女らが瞬間に見せたあどけない仕草や無垢な表情を、モリゾは見逃すことなく的確に捉えており、速筆的な画家の荒々しい筆触がそれらをより効果的に観る者へ印象付けている。この瞬間性(即興性)こそモリゾの作品の本質のひとつであり今も我々を魅了し続けるのである。また背後の衝立や画面右端部分に見られる、一見すると未完成にすら感じさせる独特の表現や抽象性も、自身の絵画表現、そして様式的個性を見出したモリゾの大きな特徴のひとつである。

関連:個人所蔵 『人形を抱く少女』


【全体図】
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飾り鉢の中心を見つめる愛娘ジュリー。パリのヴィルジュスト通りに面していたモリゾの家で制作された本作はモリゾ最愛の夫ウジェーヌ・マネとの間に生まれた愛娘ジュリーと、ヴィルジュストの家の管理人の娘であるマルト・ジヴォーダンをモデルに、二人の子供が飾り鉢で遊ぶ姿を描いた作品である。



【飾り鉢の中心を見つめる愛娘ジュリー】
飾り鉢の中に手を伸ばすマルト・ジヴォーダン。まだ幼いマルト・ジヴォーダンは身体の小ささから飾り鉢に凭れ掛かるように体重をかけ、手を鉢の中へと伸ばしながら(鉢の中で泳ぐ)金魚(又は赤い小魚)を弄り遊んでいる。



【飾り鉢の中に手を伸ばすジヴォーダン】
義兄となる印象派の創始者エドゥアール・マネから贈られた飾り鉢。愛らしい少女らが瞬間に見せたあどけない仕草や無垢な表情を、モリゾは的確に捉えており、速筆的な画家の荒々しい筆触がそれらをより効果的に観る者へ印象付けている。



エドゥアール・マネから贈られた飾り鉢】

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