Description of a work (作品の解説)
2011/07/19掲載
Work figure (作品図)
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湖畔

 (Au bort du lac) 1883年
61×50cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

19世紀後半から20世紀にかけて活躍した印象派の女流画家ベルト・モリゾを代表する典型作『湖畔』。本作は画家夫妻(※モリゾの夫は始祖的画家エドゥアール・マネの弟ウジェーヌ・マネ)が待ち望んだヴィルジュストの家の近くにあったブーローニュの森と湖畔を背景に穏やかに遊ぶ少女を描いた作品である。モリゾはこの舞台となった湖畔や森へ最愛の娘ジュリーを連れしばしば散策に出かけていたことが知られており、ブーローニュの湖畔は本作を始めとした≪森で遊ぶ少女≫という画題の重要な着想源にもなっていた。画面中央に配される白い帽子を被った小さな少女は湖畔の方を向き(※同時に観る者へ背を向けている)手に花束らしきものを持ちながら一段下の灰黒色の衣服と帽子を身に着けた少女に何やら話しかけている様子である。灰黒色の衣服の少女は左腕を腰に当てながら白帽子の小さな少女へと視線を向けており、この両者の他愛もないであろう日常風景は観る者に愛らしくほのぼのとした心緒の動きを導く役割を果たしている。また湖で羽を休める一匹の白鳥と小さな少女の白い帽子、そして灰黒色の衣服の少女の被る帽子の白模様によって構成される三角形の色彩的構成は画面に軽やかなリズムとこの平穏とした情景に安定感をもたらしている。さらに描写手法に注目してもモリゾ独特の大振りな筆触の残る大胆な筆遣いがよく感じられる前景と、より簡素かつ軽やかに描かれた後景の描写的対比も面白い。


【全体図】
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白い帽子を被る小さな少女。本作は画家夫妻(※モリゾの夫は始祖的画家エドゥアール・マネの弟ウジェーヌ・マネ)が待ち望んだヴィルジュストの家の近くにあったブーローニュの森と湖畔を背景に穏やかに遊ぶ少女を描いた作品である。



【白い帽子を被る小さな少女】
湖畔から上がってくる灰黒色の衣服を着た少女。白帽子の少女と灰黒色の衣服の少女、両者の他愛もないであろう日常風景は観る者に愛らしくほのぼのとした心緒の動きを導く役割を果たしている。



【湖畔から上がってくる少女】
湖で羽を休める白鳥。湖で羽を休める一匹の白鳥と小さな少女の白い帽子、そして灰黒色の衣服の少女の被る帽子の白模様によって構成される三角形の色彩的構成は画面に軽やかなリズムとこの平穏とした情景に安定感をもたらしている。



【湖で羽を休める白鳥】

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