Description of a work (作品の解説)
2008/05/11掲載
Work figure (作品図)
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白い水差しのある静物画


(Nature Morte au Pichet Blanc) 1879-1880年頃
49×63cm | 油彩・板 | オルセー美術館(パリ)

19世紀フランスで活躍した近代絵画の先駆的画家アドルフ・モンティセリを代表する静物画作品のひとつ『白い水差しのある静物画』。本作は生涯の中で幾多も手がけた静物を画題とした作品で、特に画家の晩年期(1870年代後半)に手がけられた静物画作品は画家の様式的特徴や手法が良く表れており、本作はその代表格的な作例のひとつとして広く知られている。画面の中央から上部へ配される白い水差しや、オレンジ・青梨などの果実、銀の皿、そして画面の最も奥(兼高位置)には水の入ったグラスが置かれている。何れもモンティセリ独特の絵の具の質感を如実に感じさせる大胆で荒々しい筆触によって描写されており、静物の圧倒的な存在感や対象そのものの力動感は、まるで彫刻を思わせる。さらにグラスを除く静物へと照らされる強烈な光の表現は、立体感や陰影描写などをほぼ無視し、色面によって平面的に顕示され、その(当時としては)独自性の高い対象表現は否が応にも観る者を惹きつける。また机に掛けられたテーブルクロスの繊細な文様も画家の厚塗り手法によって表情豊かに描写されている点や、このテーブルクロスが画面の下半分という静物とほぼ同様の面積を用いて描かれている点などは、モンティセリの興味が静物のみならず、テーブルクロスへも強く向けられていたことを示している。


【全体図】
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荒々しく絵の具の質感を如実に感じさせる独自の表現手法。本作は生涯の中で幾多も手がけた静物を画題とした作品で、特に画家の晩年期(1870年代後半)に手がけられた静物画作品は画家の様式的特徴や手法が良く表れており、本作はその代表格的な作例のひとつとして広く知られている。



【荒々しい画家独自の表現手法】
色面で構成される画面最手前のオレンジ。本作に描かれる静物は、何れもモンティセリ独特の絵の具の質感を如実に感じさせる大胆で荒々しい筆触によって描写されており、静物の圧倒的な存在感や対象そのものの力動感は、まるで彫刻を思わせる。



【色面で構成される画面手前のオレンジ】
大胆な筆触によって表現される光の反射。テーブルクロスが画面の下半分という静物とほぼ同様の面積を用いて描かれている点などは、モンティセリの興味が静物のみならず、テーブルクロスへも強く向けられていたことを示している。



【大胆な筆触で表現される光の反射】

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