Description of a work (作品の解説)
2008/08/24掲載
Work figure (作品図)
■ 

自画像

 (Autoportrait) 1879-1884年頃
35.5×34cm | 油彩・板 | 個人所蔵

19世紀のフランスで活躍した近代絵画の先駆的画家アドルフ・モンティセリが最晩年期に辿り着いた傑作『自画像』。本作は数々の女性遍歴を重ねていたモンティセリが結婚を望むほど想いを募らせていた魅惑的な女性エマ・リカールの依頼により制作された画家の自画像作品で、本作には画家の歩んできた絵画人生の全てが凝縮されている。本作では画面中央より右側にモンティセリ自身の姿がほぼ真横から描かれており、画面の中で画家は、筆と調色板(パレット)を手に画架(イーゼル)に向かい作品制作をおこなっている。その表情は(ルネサンス期などまで制作された)古典的で公式的な肖像画を思わせるように神妙で威厳的な雰囲気を感じることができる。これは絵画を描くという行為と共にモンティセリが抱いていた画家としての自己意識の反映だと考えられている。さらに面白いのはモンティセリの画架の間の空間に広がる模様のような斑点状の豊かな色彩の表現にある。この解釈に関しては諸説唱えられているものの、モンティセリの独創的な色彩と描写表現による(画家自身の)個性と創造性の表現と解釈する説が有力視されている。また後方で壁に掛けられた二つの絵画は、おそらくは画家自身の作品であり、これによってモンティセリは自身の絵画の正当性と永遠性を表したのだと推測されている。本画面の(顔面部以外の)大部分は荒々しく奔放闊達な極太の筆触によって色彩と絵具の質感のうねりと化しているが、それでも適度に原型を留めた形体の描写は見事の一言であり、観る者の心を強く奪うばかりである。


【全体図】
拡大表示
神妙な表情で絵画制作に取り組むモンティセリ。本作は数々の女性遍歴を重ねていたモンティセリが結婚を望むほど想いを募らせていた魅惑的な女性エマ・リカールの依頼により制作された画家の自画像作品で、本作には画家の歩んできた絵画人生の全てが凝縮されている。



【神妙な表情を浮かべるモンティセリ】
筆を持つ手と制作中の作品。画家の表情は古典的で公式的な肖像画を思わせるように神妙で威厳的な雰囲気を感じることができる。これは絵画を描くという行為と共にモンティセリが抱いていた画家としての自己意識の反映だと考えられている。



【筆を持つ手と制作中の作品】
奔放かつ近代的な空間部分の表現。この空間に広がる模様のような斑点状の豊かな色彩の表現の解釈に関しては諸説唱えられているものの、モンティセリの独創的な色彩と描写表現による個性と創造性の表現と解釈する説が有力視されている。



【奔放かつ近代的な空間部分の表現】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ