Description of a work (作品の解説)
2008/01/22掲載
Work figure (作品図)
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サンタドレスのテラス(海辺のテラス)


(Terrasse a Sainte-Adresse) 1867年
98×130cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館

印象派最大の巨匠のひとりクロード・モネ初期の代表作のひとつ『サンタドレスのテラス(海辺のテラス)』。本作は画家が幼少期を過ごし、風景画家ウジェーヌ・ブーダンから絵画を学んだノルマンディ地方のル・アヴールより北に位置する郊外の港町サン・タドレスに住むモネの父親アドルフと伯母ソフィー・ルカドル一家の人々を描いた私的な作品である。1867年、結婚はしていなかったものの息子ジャンが誕生した画家は生活費の援助を求める為に父親と伯母が住むサン・タドレスへ赴き、その際、同地で本作が制作されたが、本作の明瞭で輝くような陽光に照らされるサン・タドレスのテラスで寛ぐモネ一族の姿は、画家の逼迫した経済状況を伺い知ることはできないほど幸福的情景に溢れている。画面前景では画家の父親アドルフと伯母ソフィー・ルカドルがテラスに置かれる椅子に座りながら海を眺め、その奥(中景)ではモネの従姉妹となるジャンヌ=マルグリット・ルカドルが親族と談笑している。明確に区別された近景の庭と遠景の海景を組み合わせた構図は大胆な展開であるものの、強く明瞭な陽光によって浮かび上がる登場人物や庭の花々、風に靡く二本の旗(そのひとつはフランス国旗である)、庭の前に広がる海景と港を行き交う数多くの船舶、青々とした高い空などの表現は筆触分割を用いたモネ独特の印象主義的な表現と言うよりも、写実的性質が強いのが大きな特徴である。また色彩描写においてもその性格は同様で、本作には心象や印象に基づいた色彩ではなく、より現実に近い色彩が用いられている。


【全体図】
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テラスに置かれる椅子に座る画家の父。本作は画家が幼少期を過ごし、風景画家ウジェーヌ・ブーダンから絵画を学んだノルマンディ地方のル・アヴールより北に位置する郊外の港町サン・タドレスに住むモネの父親アドルフと伯母ソフィー・ルカドル一家の人々を描いた私的な作品である。



【テラスに置かれる椅子に座る画家の父】

親族と談笑するモネの従姉妹ジャンヌ=マルグリット・ルカドル。本作の明瞭で輝くような陽光に照らされるサン・タドレスのテラスで寛ぐモネ一族の姿は、画家の逼迫した経済状況を伺い知ることはできないほど幸福的情景に溢れている。



【親族と談笑するマルグリット・ルカドル】

より現実に近い色彩が用いられた花々の描写。明確に区別された近景の庭と遠景の海景を組み合わせた構図は大胆な展開であるものの、強く明瞭な陽光によって浮かび上がる登場人物や庭の花々、風に靡く二本の旗、庭の前に広がる海景などの表現は筆触分割を用いたモネ独特の印象主義的な表現と言うよりも、写実的性質が強い。



【現実に近い色彩が用いられた花々】

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