Description of a work (作品の解説)
2009/04/02掲載
Work figure (作品図)
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しだれ柳

 (Le Sule Pleureur) 1918-19年頃
100×120cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

印象派最大の巨匠のひとりであり、同派の最も純粋な画家のひとりでもある大画家クロード・モネ晩年の作品『しだれ柳』。本作がモネが晩年期に手がけた睡蓮以外の代表的な単一画題による連作の中の1点で、自宅兼アトリエとして住んでいたジヴェルニーの邸宅の庭に植えた≪しだれ柳≫を描いた作品である。画面からはみ出さんばかりの大きさで描かれる一本のしだれ柳は、枝葉をその名の如く緩やかに撓らせながら大地に近接するほど垂れ下げている。身をくねらせながらも天へと伸びる柳の幹は紫色や桃色に近い色彩で表現されており、枝葉の緑色や青色などの寒色と見事な対比を示している。さらに注目すべき点は柳の幹を中心に、画面左部分は青色、右部分は緑黄色で葉を描いている点にある。この色彩のグラデーション的な使用は、陽光によって絶えず変化する自然界の色彩を、モネが自身の目を通して見える世界として画面上へと映したものに他ならない。観る者は画面右側の緑黄色が映える柳の葉には陽光の生命力に溢れる暖かさを、画面左側の蒼白く輝く柳の葉には光そのものの透明感を見出すことができる。なおモネは本作を手がけた1918年頃から最晩年までの期間で≪しだれ柳≫を画題とした作品を10点程度手がけたことが知られている。

関連:オルセー美術館所蔵 『しだれ柳』


【全体図】
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紫色や桃色が用いられるしだれ柳の幹。本作がモネが晩年期に手がけた睡蓮以外の代表的な単一画題による連作の中の1点で、自宅兼アトリエとして住んでいたジヴェルニーの邸宅の庭に植えた≪しだれ柳≫を描いた作品である。



【紫色や桃色が用いられるしだれ柳の幹】
陽光の生命力を感じさせる緑黄色。画面からはみ出さんばかりの大きさで描かれる一本のしだれ柳は、枝葉をその名の如く緩やかに撓らせながら大地に近接するほど垂れ下げ、身をくねらせながらも天へと伸びる柳の幹は枝葉の色彩と対比させるかのように紫色や桃色に近い色彩で表現されている。



【陽光の生命力を感じさせる緑黄色】
光そのものの透明感を感じさせる蒼白い柳の葉。観る者は画面右側の緑黄色が映える柳の葉には陽光の生命力に溢れる暖かさを、画面左側の蒼白く輝く柳の葉には光そのものの透明感を見出すことができる。



【透明感を感じさせる蒼白い柳の葉】

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