Description of a work (作品の解説)
2007/11/06掲載
Work figure (作品図)
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ロンドンの国会議事堂、霧を貫く陽光


(Le Parlement, trouée de soleil dans le brouillard) 1904年
81×92cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の巨匠クロード・モネ作『ロンドンの国会議事堂、霧を貫く陽光』。本作は1899年から1901年にかけて、数回に分けて滞在(各滞在は2〜3ヶ月程度)し、ロンドンとテムズ川の風景を連作的に制作した作品の中の一点で、今では名物ともなっているロンドンの霧に包まれる冬の≪国会議事堂≫と≪陽光≫を描いたものである。モネは1870年に普仏戦争を避けて半年間ロンドンへと移住しており、今回の制作も、1898年にロンドンへ留学していたが同地で病に臥してしまった息子ミシェルを訪ね滞在したことが切っ掛けとなったと推測されている。モネは3年間のロンドンでの制作活動で≪国会議事堂≫を画題とした作品を約20点、≪ウォータールー橋≫や≪チャーリング・クロス橋≫を画題とした作品を約80点近く制作したが、何れも未完成であった為に帰国後、ジュヴェルニーの自宅兼アトリエで同時進行で仕上げ、その中から37点、1904年に画商デュラン=リュエルの画廊でおこなわれた「テムズ川の眺めの連作」と題される展示会(1904年開催)へ出品された(※本作もその1中の点)ことが確認されている。本作はロンドンの聖トマス病院からの視点によって制作されており、本作同様、水辺を描いた(印象派の名称の由来ともなった)『印象 -日の出-』と比較してみると、濃霧ゆえの国会議事堂の鬱屈した雰囲気や重質感、それを劈くように射し込む太陽の光の表現や、光による強烈な幻想的色彩など表現様式やその手法に如実な変化が示されている。モネは本作のような冬のロンドンの霧が織り成す独特の(街の)雰囲気やその風景に魅了されていたことが知られ、後に「好みは冬だけだ。霧が無ければロンドンに魅力はないだろう。霧はロンドンに驚嘆に値する広がりと、規律正しく建てられる建築物に神秘的なヴェールと静けさを与えている。」と言葉を残している。

関連:『ロンドンの国会議事堂、テムズ川の反射』
関連:『ロンドンの国会議事堂、太陽の効果』
関連:『ロンドンの国会議事堂、夕暮れ』
関連:『ロンドンの国会議事堂、日没』
関連:『ロンドンの国会議事堂』


【全体図】
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霧のヴェールに包まれるロンドンの国会議事堂。本作は1899年から1901年にかけて、数回に分けて滞在(各滞在は2〜3ヶ月程度)し、ロンドンとテムズ川の風景を連作的に制作した作品の中の一点で、今では名物ともなっているロンドンの霧に包まれる冬の≪国会議事堂≫と≪陽光≫を描いたものである。



【霧のヴェールに包まれる国会議事堂】

陽光の強烈な幻想的色彩。濃霧ゆえの国会議事堂の鬱屈した雰囲気や重質感、それを劈くように射し込む太陽の光の表現や、光による強烈な幻想的色彩など表現様式やその手法に過去の作品からの如実な変化が示されている。



【陽光の強烈な幻想的色彩】

テムズ川に反射する太陽の光。モネは3年間のロンドンでの制作活動で≪国会議事堂≫を画題とした作品を約20点制作したが、何れも未完成であった為に帰国後、ジュヴェルニーの自宅兼アトリエで同時進行で仕上げ、その中から数点、1904年に画商デュラン=リュエルの画廊でおこなわれた「テムズ川の眺めの連作」と題される展示会(1904年開催)へ出品された。



【テムズ川に反射する太陽の光】

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