Description of a work (作品の解説)
2008/06/15掲載
Work figure (作品図)
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王女の庭園(シャルダン・ド・ランファント)


(Le jardin de l'infante) 1867年 | 91.8×61.9cm
油彩・画布 | オバーリン大学アレン記念美術館

印象派最大の巨匠のひとりクロード・モネ、初期を代表する作品のひとつ『王女の庭園(シャルダン・ド・ランファント)』。本作はルーヴル美術館2階にある有名なコロナードのバルコニーからの眺望(近代化されたパリの街並み)を描いた、1860年代のモネを代表する作品のひとつである。パリで二度目の万国博覧会が開催された1867年の初めに制作された作品である本作は、画家を初め、ルノワールなど当時の先駆的な画家たちが強く惹かれて盛んに取り組んでいた、当時の近代的風景(近代性)を心象そのままに表現することが実践された戸外制作作品の代表格的な作品でもある。画面下部にはルーヴル宮(現ルーヴル美術館)の庭園として知られる≪王女の庭園≫が描かれており、緑豊かな芝生が画面の中で色鮮やかに栄えている。また王女の庭園の周囲には近代化されたパリの街中を行き交う多くの人々や、都市景観に馴染む美しい並木が描かれており、本作からは写真的な印象すら感じられる。またセーヌ川の奥の風景(遠景)として画面中央には、カルチェ・ラタンの丘に建てられた新古典主義建築における初期の傑作として名高いパンテオンの円屋根が見えており、その左側にゴシック建築随一の建築物であるノートルダム大聖堂が、右側にはヴァル=ド=グラス聖堂が聳えている。さらにその上空では曇りがかった空が広がっており、空間的な開放感を与えている。全体的には写実を機軸に置いた表現手法が用いられており、印象主義者の代表的存在として知られるモネの特徴的な筆触分割(色彩分割)の手法はまだ見出せないものの、前景の街中を行き交う人々の即興的で自由な表現には大きな可能性を感じさせる。なお本作のルーヴル美術館を背にした視点からの景観を描いた画家の意図として、モネの伝統への反抗を指摘する研究者もいる。


【全体図】
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色鮮やかに栄える≪王女の庭園≫。本作は当時の先駆的な画家たちが強く惹かれて盛んに取り組んでいた、当時の近代的風景(近代性)を心象そのままに表現することが実践された戸外制作作品の代表格的な作品である。



【色鮮やかに栄える≪王女の庭園≫】
近代化されたパリの街中を行き交う人々。印象主義者の代表的存在として知られるモネの特徴的な筆触分割(色彩分割)の手法は本作にはまだ見出せないものの、前景の街中を行き交う人々の即興的で自由な表現には大きな可能性を感じさせる。



【近代化されたパリの街を行き交う人々】
遠景に聳えるパンテオンの円屋根。セーヌ川の奥の風景(遠景)として画面中央には、カルチェ・ラタンの丘に建てられた新古典主義建築における初期の傑作として名高いパンテオンの円屋根が見えており、その左側にはノートルダム大聖堂が、右側にはヴァル=ド=グラス聖堂が聳えている。



【遠景に聳えるパンテオンの円屋根】

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