Description of a work (作品の解説)
2007/12/11掲載
Work figure (作品図)
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モネの家の庭、アイリス


(Le jardin de Monet, les Iris) 1900年
81×92cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派最大の巨匠クロード・モネが晩年期に手がけた代表的作品のひとつ『モネの家の庭、アイリス』。本作は1880年代におこなった展示会の成功により経済的に安定し、1890年の11月にそれまで借家として住んでいたジヴェルニーの土地と家を購入した画家が若い頃から関心を寄せ(また当時の流行でもあった)、積極的に造園した自宅に庭に咲くアイリスの花々を描いた作品である。土地の購入直後からおこなわれた造園は、19世紀末のフランスを代表する文筆家であり、画家同様、花々に対して強い関心を示していたオクターヴ・ミルボー(花の縁でモネとは良い友人であった)の助言もあり、本作が制作された頃には見事な出来栄えを見せていた。画家はその後、自ら「私は花のおかげで画家になれたのであろう」と述べているよう、花の自然的な美しさに魅了され画業の初期から花の描写をおこなっており、本作では小道へ均一に植えられたアイリスの紫色の色彩が画面内で洪水のように広がっている。さらにそこへと射し込む陽光によって紫色が多様な変化を見せ、美しく輝いている。またアイリスの紫色と小道や遠景のエゾマツの赤茶色、茎や草葉の緑色の色彩的対比も観る者の目と心を奪う。画面内で無秩序的に動く画家独特の奔放な筆致は花々や、草木の生命感をも描き出しているかのように力強く、躍動的である。画家はジヴェルニーの庭の花々を描いた作品を数点残しているが、本作はその中でも屈指の代表作として今でも人々に親しまれている。なお本作が制作された翌年から2年かけて、モネは自身の庭の池の拡張をおこなっており、その時に庭を描いた作品『ジヴェルニーのモネの庭の小道』がウィーン美術館に所蔵されている。

関連:『ジヴェルニーのモネの庭の小道』


【全体図】
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陽光に照らされ多様な変化を見せるアイリスの色彩。本作は1890年の11月にそれまで借家として住んでいたジヴェルニーの土地と家を購入した画家が若い頃から関心を寄せ、積極的に造園した自宅に庭に咲くアイリスの花々を描いた作品である。



【多様な変化を見せるアイリスの色彩】

アイリスの紫色と小道の赤茶色、茎や草葉の緑色の色彩的対比。画家は花の自然的な美しさに魅了され画業の初期から花の描写をおこなっており、本作では小道へ均一に植えられたアイリスの紫色の色彩が画面内で洪水のように広がっている。



【アイリス、小道、草葉の色彩的対比】

生命感に溢れる力強く、躍動的な筆致。土地の購入直後からおこなわれた造園は、19世紀末のフランスを代表する文筆家オクターヴ・ミルボーの助言もあり、本作が制作された頃には見事な出来栄えを見せていた。



【生命感に溢れる力強く、躍動的な筆致】

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