Description of a work (作品の解説)
2007/12/11掲載
Work figure (作品図)
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舟遊び(ノルヴェジエンヌ号で)

 (On the Boat) 1887年
98×131cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派最大の巨匠クロード・モネ探求の時代後期の代表的な作例のひとつ『舟遊び(ノルヴェジエンヌ号で)』。本作は画家が自身の邸宅兼アトリエとして(そして終の棲家ともなった)購入したジヴェルニーの家の近郊にあるセーヌ川支流エプト川に船を浮かべ優雅に余暇を過ごす婦人たちの情景を描いた作品である。本作に描かれる婦人のモデルは、後に妻カミーユと死別したモネの後妻となるアリス・オシュデ(※アリス自身も2度目の結婚となる)と前夫との間に生まれた娘たちで、右からブランシュ(次女)、シュザンヌ(三女)、そして画面のほぼ中央に描かれる舟端で釣り糸を垂らす白い帽子を被ったジェルメーヌ(四女)と配されている。本作で最も注目すべき点は、描かれる三人の娘ではなくエプト川の詩情性に溢れた描写にある。画面のほぼ中央から上下に、緑豊かなエプト側で優雅に余暇を過ごす娘たちの情景と、それを映すエプト側の水面が構成されているが、明らかに画家の興味は水面への反射や、吸い込まれるほど深い緑色の影を落す木々の表現に向けられている。特に画面上部の河岸の情景とそれを映す水面の微妙に差異をもたせた繊細な描写は、観る者に強い感銘と心象的情景を抱かせる。また色彩表現においても、緑色と青色を主色としながら木の幹や婦人らが身に着ける衣服には赤味を含ませた色彩が、帽子には黄色味を感じさせる色彩が用いられており、絶妙な色彩的対比と相対的強弱性(アクセント)的な効果を生み出している。なお東京の国立西洋美術館にはブランシュとシュザンヌの二名をモデルとした質の高い同主題の作品『舟遊び』が所蔵されている。

関連:国立西洋美術館所蔵 『舟遊び』


【全体図】
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舟端で釣り糸を垂らす白い帽子を被ったジェルメーヌ。本作は画家が自身の邸宅兼アトリエとして(そして終の棲家ともなった)購入したジヴェルニーの家の近郊にあるセーヌ川支流エプト川に船を浮かべ優雅に余暇を過ごす婦人たちの情景を描いた作品である。



【舟端で釣り糸を垂らすジェルメーヌ】
小船の中央に座るシュザンヌの姿。本作に描かれる婦人のモデルは、後に妻カミーユと死別したモネの後妻となるアリス・オシュデ(※アリス自身も2度目の結婚となる)と前夫との間に生まれた娘たちで、右からブランシュ(次女)、シュザンヌ(三女)、ジェルメーヌ(四女)と配されている。



【小船の中央に座るシュザンヌ】
水面に映った河岸の情景。画面のほぼ中央から上下に、緑豊かなエプト側で優雅に余暇を過ごす娘たちの情景と、それを映すエプト側の水面が構成されているが、明らかに画家の興味は水面への反射や、吸い込まれるほど深い緑色の影を落す木々の表現に向けられている。



【水面に映った河岸の情景】
木々に用いられる深い緑色の繊細な色彩表現。色彩表現においても、緑色と青色を主色としながら木の幹や婦人らが身に着ける衣服には赤味を含ませた色彩が、帽子には黄色味を感じさせる色彩が用いられており、絶妙な色彩的対比と相対的強弱性(アクセント)的な効果を生み出している。



【深い緑色の繊細な色彩表現】

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