Description of a work (作品の解説)
2009/04/13掲載
Work figure (作品図)
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郵便配達夫ジョゼフ・ルーランの肖像


(Le facteur Joseph Roulin) 1889年
65×54cm | 油彩・画布 | クレラー=ミュラー国立美術館

後期印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホ、アルル滞在期の代表的な肖像画作品のひとつ『郵便配達夫ジョゼフ・ルーランの肖像』。本作はゴッホがアルルへ滞在していた時に親しくなり、画家に対して(アルルを離れるまで)援助を続けていた同地の郵便配達人≪ジョゼフ・ルーラン≫氏を描いた肖像画作品で、ゴッホは1888年12月から翌1889年4月の間に同氏の肖像画を4点以上制作しており、本作はその最後期の作品であると推測されている。画面中央に正面から捉えられる郵便配達夫の制服を着たジョゼフ・ルーラン氏は純真そうな澄んだ緑色の瞳を本作を観る者へと向けている。赤味の差す頬から顎にかけては髭が蓄えられており、その形状は巻き毛で描写されている。帽子や制服の清潔な紺色と対比するかのような緑色の背景(これは瞳の色彩とも呼応している)には紅白の花が描き込まれており、ジョゼフ・ルーラン氏の共和主義的な思想を考慮したかのような(ロシアの肖像画的な)ロマン主義的な雰囲気を醸し出している。本作で最も注目すべき点はゴッホ特有の大胆で荒々しい筆触による形態表現と豊かな色彩描写にある。ジョゼフ・ルーラン氏の顔面や髭部分は勿論、制服や帽子、背後の緑色まで勢いのままに描写されたかのような筆触は本作に描かれる同氏の輝くような純真的生命力を見事に表現しており、さらに緑色、青色、黄色、乳白色、赤色と色数自体は少ないものの各色が画面の中で絶妙に引き立て合うことでジョゼフ・ルーラン氏の人物像を明確に示すことに成功している。なおジョゼフ・ルーラン氏を描いた本作以外の作品ではボストン美術館に所蔵される『郵便配達夫ジョゼフ・ルーランの肖像』などが一般的に知られている。

関連:ボストン美術家所蔵 『ジョゼフ・ルーランの肖像』


【全体図】
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純真そうな澄んだ緑色の瞳の郵便配達夫ジョゼフ・ルーラン。本作はゴッホがアルルへ滞在していた時に親しくなり、画家に対して(アルルを離れるまで)援助を続けていた同地の郵便配達人≪ジョゼフ・ルーラン≫氏を描いた肖像画作品である。



【澄んだ緑色の瞳のジョゼフ・ルーラン】
巻き毛状に描写される蓄えられた髭。ジョゼフ・ルーラン氏の顔面や髭部分は勿論、制服や帽子、背後の緑色まで勢いのままに描写されたかのような筆触は本作に描かれる同氏の輝くような純真的生命力を見事に表現している。



【巻き毛状に描写される蓄えられた髭】
ロマン主義的な雰囲気を醸し出す背景の花。帽子や制服の清潔な紺色と対比するかのような緑色の背景(これは瞳の色彩とも呼応している)には紅白の花が描き込まれており、ジョゼフ・ルーラン氏の共和主義的な思想を考慮したかのような(ロシアの肖像画的な)ロマン主義的な雰囲気を醸し出している。



【ロマン主義的な雰囲気の花】

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