Description of a work (作品の解説)
2009/11/01掲載
Work figure (作品図)
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ラ・ムスメ(少女の肖像)

 (La Mousmé) 1888年
74×60cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

後期印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホの肖像画作品『ラ・ムスメ(少女の肖像、腰掛けて手に花を持つ娘)』。本作は1888年7月頃に、多作で知られる同時代のフランス人作家ピエール・ロティの小説≪お菊さん≫を読んでいたゴッホが同小説へ記述される若い『娘(ムスメ)』に着想を得て制作された空想的肖像画作品である。ゴッホは本作を手がける前年に制作した『日本趣味 : 花魁』などの作品からも分かるよう日本趣味(ジャポニズム)、そして日本そのものに対して強い興味を抱いていたことは良く知られているが、本作もそのような画家の傾向の流れのひとつとして制作された作品でもある。画面中央やや左側に丸みを感じさせる椅子に腰掛けた姿で配される若い娘は、少し緊張の面持ちを観る者に抱かせるような印象の表情を浮かべながら、左手には花が持たされている。極めて簡潔に構成される本作は名称こそ日本語の≪娘(ムスメ)≫と付けられているものの、ここには日本的特徴は殆ど示されず、顎が小さくやや膨らんだ頬など少女の顔立ちに僅かな異国情緒と東洋的なイメージを連想させるのみである。他方、表現的手法に注目すると、刺激的である意味幻覚的な衣服や水玉模様のスカートに用いられる赤や青、橙などの原色や、それを抑制させるかのような背景の薄い緑色の使用などゴッホ独特の色彩感覚の典型が本作には示されており、そのような様式的特徴の面から本作を考察すると非常に興味深い点が浮かび上がってくる。


【全体図】
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娘(ムスメ)と題された少女の姿。本作は1888年7月頃に、多作で知られる同時代のフランス人作家ピエール・ロティの小説≪お菊さん≫を読んでいたゴッホが同小説へ記述される若い『娘(ムスメ)』に着想を得て制作された空想的肖像画作品である。



【娘(ムスメ)と題された少女の姿】
刺激的印象の強い衣服の色彩。極めて簡潔に構成される本作は名称こそ日本語の≪娘(ムスメ)≫と付けられているものの、ここには日本的特徴は殆ど示されず、顎が小さくやや膨らんだ頬など少女の顔立ちに僅かな異国情緒と東洋的なイメージを連想させるのみである。



【刺激的印象の強い衣服の色彩】
少女の左手に持たされた白い花。表現的手法に注目すると、刺激的である意味幻覚的な衣服や水玉模様のスカートに用いられる赤や青、橙などの原色や、それを抑制させるかのような背景の薄い緑色の使用などゴッホ独特の色彩感覚の典型が本作には示されている。



【少女の左手に持たされた白い花】

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