Description of a work (作品の解説)
2008/06/04掲載
Work figure (作品図)
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夜のカフェテラス(アルルのフォラン広場)


(Le Café de soir (Place du Forum, à Arles)) 1888年
81×65.5cm | 油彩・画布 | クレラー=ミュラー国立美術館

後期印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホ、アルル滞在期の代表作『夜のカフェテラス(夜のアルルのカフェテラス、アルルのフォラン広場)』。本作はゴッホが1888年2月から滞在した南仏の町アルルの旧市街の中央にあるフォラン広場(フォルム広場、フォロム広場、フォーラム広場とも呼ばれる)に面する、比較的裕福な階級層向けのカフェテラスの情景を描いた作品である。1888年9月に制作されたことが画家の書簡から判明している本作では、画面左側に当時の文明の発展を象徴するガス灯(人工灯)の黄色の光に照らされるカフェが輝くように描写され、画面右側と前景にはカフェへと続く石畳、そして一本の杉が描かれている。一方、画面上部(又は遠景)には窓から光の漏れる薄暗い旧市街の町並みと、青々とした夜空が印象的に配されている。黒色を全く使用しない黄色と深い青色で描かれる夜の情景表現は、ゴッホは本作で取り組んだ最も大きな要素のひとつであり、(画家にとっても馴染み深い)この黄色と青色の明確な色彩的対照性や激しい(力動的な)衝突は観る者の目と心を強く奪う。さらに夜空に輝く星々の独特な表現は、画家自身の言葉によれば夜空に咲く「天国の花」として描いた為としている。本作の黄色と青色、そして杉の木の緑色の鮮やかな色彩描写は(本作中で)最も注目すべき点ではあるが、本作の石畳の複雑な色彩表現も特筆に値するものである。画面最前景の轍の入った石畳の、やや影が落ちた暗く強い色調と、最もガス灯の光が当たるカフェテラスの前の石畳の白く反射する明瞭な色調の対比的描写は、図形化したかのような造形と共に、この頃に手がけられた画家の作品の中でも傑出した表現であり、アルルの旧市街にある夜のカフェテラスの情景の印象を決定付けている。


【全体図】
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闇の中で黄色の光を放つガス灯。本作はゴッホが1888年2月から滞在した南仏の町アルルの旧市街の中央にあるフォラン広場に面する、比較的裕福な階級層向けのカフェテラスの情景を描いた作品である。



【闇の中で黄色の光を放つガス灯】
夜のカフェに集う裕福な人々。画面左側に当時の文明の発展を象徴するガス灯(人工灯)の黄色の光に照らされるカフェが輝くように描写され、画面右側と前景にはカフェへと続く石畳、そして一本の杉が描かれている。



【夜のカフェに集う裕福な人々】
図形化したかのような石畳の造形。画面最前景の轍の入った石畳の、やや影が落ちた暗く強い色調と、カフェテラスの前の石畳の白く反射する明瞭な色調の対比的描写は、この頃に手がけられた画家の作品の中でも傑出した表現である。



【図形化したかのような石畳の造形】
青い夜に輝く花のような星々。黒色を全く使用しない黄色と深い青色で描かれる夜の情景表現は、ゴッホは本作で取り組んだ最も大きな要素のひとつであり、この黄色と青色の明確な色彩的対照性や激しい(力動的な)衝突は観る者の目と心を強く奪う。



【青い夜に輝く花のような星々】

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