Description of a work (作品の解説)
2009/07/14掲載
Work figure (作品図)
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タヒチの女たち

 (Femmes de Tahiti) 1891年
69×91.5cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

近代絵画の巨匠ポール・ゴーギャン第一次タヒチ時代の代表作『タヒチの女たち』。本作はゴーギャンが1891年の4月から1893年の6月まで滞在した、自身初となるタヒチで到着後間もない頃に制作された作品で、同地の女性を画題とした作品の中でも特に画題に特化した作品としても広く認知されている。タヒチの浜辺を作品の舞台に設定し、画面中央から左右へ現地の女性が座位の姿で配されている。画面右側の女性はどこか警戒しているかのように右方へ視線を向けながら、縄らしいものを撚っている。左側の女性は瞳を伏せながら撚られる縄らしきものへと視線を向けているが、その姿態は自然体で緊張の様子は見られない。一方は(本作を)観る者へと身体を向け(画面右側の女)、もう一方は観る者へ背を向けるという人物同士の対比的位置関係や堂々としたタヒチの女性の生命力に溢れた独特の美しさも本作の大きな見所ではあるものの、最も注目すべき点は、タヒチの光景を目の当たりにしたゴーギャンの喜びに満ちた感情による画題の扱いそのものにある。例えば色彩は暖色を多用し、明るさと力強さを兼ね備えながら、(ゴーギャンがタヒチで感じていたであろう)楽園的な神秘性や自然美をも同時に表現している。表現手法としてはクロワゾニスムを用いた総合主義的な側面が色濃く、フランス時代の画家の表現に則られているものの、タヒチの女性への(崇拝にも似た)画家の個人的視点や観察による対象の捉え方には、画家としての喜びの感情や溢れる野心的感覚を感じずにはいられない。


【全体図】
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縄を撚る女性の警戒した眼差し。本作ではタヒチの浜辺を作品の舞台に設定し、画面中央から左右へ現地の女性が座位の姿で配されており、画面右側の女性はどこか警戒しているかのように右方へ視線を向けながら、縄らしいものを撚っている。



【縄を撚る女性の警戒した眼差し】
瞳を伏せる自然体の女性。一方は(本作を)観る者へと身体を向け(画面右側の女)、もう一方は観る者へ背を向けるという人物同士の対比的位置関係や堂々としたタヒチの女性の生命力に溢れた独特の美しさも本作の大きな見所である。



【瞳を伏せる自然体の女性】
砂浜に描かれる渦巻きと落ちた花飾り。色彩は暖色を多用し、明るさと力強さを兼ね備えながら、ゴーギャンがタヒチで感じていたであろう楽園的な神秘性や自然美をも同時に表現しており、対象の捉え方には、画家としての喜びの感情や溢れる野心的感覚を感じずにはいられない。



【砂浜に描かれる渦巻きと落ちた花飾り】

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