2009/07/24掲載
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ヴィヒネ・ノ・テ・ヴィ(マンゴーを持つ女)(Vahine no te vi (Femme au mango)) 1892年 70×45cm | 油彩・画布 | ボルティモア美術館
生命感に溢れる少女テハマナの表情。ゴーギャンは第一次タヒチ滞在期に自然的で生命感に溢れる美しさを備えていたテハマナをモデルとした作品を、本作以外にも『マナオ・トゥパパウ(死霊は見守る、死霊が見ている)』など複数枚手がけているが、本作は少女テハマナの母性を象徴化した作品として特に重要視されている。
【生命感に溢れる少女テハマナの表情】
豊穣を象徴するマンゴーの実。テハマナが手にするマンゴー(ウルシ科マンゴー属の常緑高木。菴羅、菴摩羅とも呼称される)の実は、現地では古くから豊穣を象徴するものであり、ここにゴーギャンの自然(そしてタヒチ)に対する尊敬の念と、テハマナの母性を見出すことができる。
【豊穣を象徴するマンゴーの実】
背景の黄色と対比するテハマナの身に付ける衣服の紫色。生のある人間そのものを宗教画のように象徴化した本作には、西洋の古典的な絵画の表現手法と通じており、画家がタヒチを訪れる要因ともなった西洋文化そのものによる、自身の肯定的態度は特筆に値するものである。
【背景の黄色と対比する衣服の紫色】 |