Description of a work (作品の解説)
2009/09/06掲載
Work figure (作品図)
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ヴァイテ・グーピルの肖像(若い女の肖像)


(Vaite Goupil, Portrait de jeune fille) 1896年
75×65cm | 油彩・画布 | オルドルップガード・コレクション

近代絵画様式の確立者ポール・ゴーギャンを代表する肖像画作品のひとつ『ヴァイテ・グーピルの肖像(若い女の肖像)』。本作はフランスから南国タヒチへの入植者であり、同地の裕福な商人かつ弁護士(法律家)でもあったオーギュスト・グーピルの末娘ジャンヌ・グーピル(タヒチ語ではヴァイテ・グーピル)の9歳の姿を描いた肖像画作品である。画面中央やや右側へ配される前髪を切り揃えたジャンヌはほぼ真正面から捉えられており、装飾が施された木製の椅子へ斜めに腰掛ける姿態は伝統的な肖像画様式を連想させる。末娘ジャンヌの表情は多少緊張の色が示されているかのように無表情で客観的印象を観る者に与えている。また背景は紫色に近い藍色と桃色とで二分される壁紙の中へ、末娘の純潔を象徴する花柄が丹念に描き込まれている点は本作の最も注目すべき点のひとつである。肖像画の依頼主オーギュスト・グーピルはゴーギャンの前衛的芸術精神を既知であったが故、肖像画の完成形にはやや心配の念を抱いていたものの、完成後の作品を観た同氏は肖像画の出来栄えに満足し、ゴーギャンを同家の子供らの絵画教師として迎えたことが知られている。この依頼主オーギュストの印象と行動からも理解できるよう、本作においてはゴーギャンの特徴的なプリミティブ(原始)的表現や野心的挑戦性は強く示されておらず、依頼主の意向や満足度を優先させていることが伝わってくるものの(※ゴーギャンは当時、金銭的な困窮に陥っていた)、強烈な背景の色彩や装飾、ジャンヌ・グーピルの平面的な胴体の表現などにはゴーギャンの確固たる信念と個性を感じることができる。


【全体図】
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多少緊張の色が示されるジャンヌ・グーピルの表情。本作はフランスから南国タヒチへの入植者であり、同地の裕福な商人かつ弁護士(法律家)でもあったオーギュスト・グーピルの末娘ジャンヌ・グーピル(タヒチ語ではヴァイテ・グーピル)の9歳の姿を描いた肖像画作品である。



【緊張の色が示されるジャンヌ】
古典的な印象を受けるジャンヌの姿態。本作においてはゴーギャンの特徴的なプリミティブ(原始)的表現や野心的挑戦性は強く示されておらず、依頼主の意向や満足度を優先させていることが伝わってくるものの、強烈な背景の色彩や装飾、ジャンヌ・グーピルの平面的な胴体の表現などにはゴーギャンの確固たる信念と個性を感じることができる。



【古典的なジャンヌの姿態】
純潔を象徴する花柄と個性的な色彩。背景は紫色に近い藍色と桃色とで二分される壁紙の中へ、末娘の純潔を象徴する花柄が丹念に描き込まれている点は本作の最も注目すべき点のひとつである。



【ジャンヌの純潔を象徴する花柄】

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