Description of a work (作品の解説)
2004/09/01掲載
Work figure (作品図)
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踊りの花形(エトワール、又は舞台の踊り子)

 1878年頃
(L'étoile de la danse (L'étoile ou danseuse sur scène))
60×44cm | モノタイプ・パステル | オルセー美術館(パリ)

印象派を代表する画家エドガー・ドガ随一の代表作とされる『踊りの花形』。エトワール、または舞台の踊り子とも呼ばれる本作は、画家が旅行先のアメリカから帰国した1873年から、頻繁に手がけられるようになる≪踊り子≫を主題に描かれた作品である。本作で最も目を惹きつけるのは、舞台上で軽やかに舞う踊り子であり、(舞台に設置される)人工的な光に下半身から上半身に向かって照らされる踊り子の表現は、秀逸の出来栄えを示しており、画家が得意とし、しばしば自身の作品で取り上げ表現した人工光の描写は、本作において斬新かつ効果的に舞台上の踊り子を引き立たせている。また対象が瞬間的にみせる肉体の運動性や躍動感、踊り子の衣装の絶妙な表現も本作の注目すべき点のひとつである。本作では、観者が踊り子を上から見下ろすという非常に大胆な構図が用いられているが、これは日本の浮世絵の奇抜な構図構成に影響を受けた為である。画面奥には踊り子らのパトロン(夜会服の男)と、出番を待つ脇役の踊り子の姿も描かれており、舞台上で繰り広げられる華やかな世界とは異なる、厳しいバレエの現実世界も、ドガは容赦なく画面の中に描き出している。なお本作に使用されているパステルは光に弱く、長期で照らされると色褪せが発生する為、所蔵先のオルセー美術館では、照明を落とし、ガラスケースの中に入れられ公開されているほか、同一構図による作品が数点、フランスやアメリカに確認されている。


【全体図】
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舞台上で軽やかに舞う踊り子。エトワール、または舞台の踊り子とも呼ばれる本作では、観者が踊り子を上から見下ろすという非常に大胆な構図が用いられているが、これは日本の浮世絵の奇抜な構図構成に影響を受けた為である。



【舞台上で軽やかに舞う踊り子】
人工光に照らされる踊り子の衣装。(舞台に設置される)人工的な光に下半身から上半身に向かって照らされる踊り子の表現は、秀逸の出来栄えを示しており、画家が得意とし、しばしば自身の作品で取り上げ表現した人工光の描写は、本作において斬新かつ効果的に舞台上の踊り子を引き立たせている。



【人工光に照らされる踊り子の衣装】
踊り子らのパトロン(夜会服の男)と、舞台袖で出番を待つ脇役の踊り子。このように舞台上で繰り広げられる華やかな世界とは異なる、厳しいバレエの現実世界も、ドガは容赦なく画面の中に描き出している。



【舞台袖で出番を待つ脇役の踊り子】

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