Description of a work (作品の解説)
2009/03/17掲載
Work figure (作品図)
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赤いチョッキの少年

 (Garçon au gilet rouge) 1888-90年
65.7×54.7cm | 油彩・画布 | バーンズ・コレクション

後期印象派の大画家ポール・セザンヌを代表する単身人物像のひとつ『赤いチョッキの少年』。本作は1880年代末頃から1890年代初頭にかけて制作されたイタリア人少年ミケランジェロ・ディ・ローザをモデル(彼は職業モデルであった)とした≪赤いチョッキの少年≫の連作の中の1点である。画面のほぼ中央に描かれるミケランジェロ少年はやや俯きながら右側へと視線を向けており、その口元は少年の内面性を表したかのようにへの字に結ばれている。上半身と僅かな下半身で構成される赤いチョッキの少年の姿態は画面のほぼ正面を向けており、ここにセザンヌの単身人物画の多くに共通する厳格な正面性と垂直性を見出すことができる。さらに本作で最も注視すべき点であり、最も魅力的な面として特筆すべき点は、少年が身に着ける色鮮やかな赤色のチョッキとその他の構成要素との色彩的対比である。赤いチョッキを中心に、首下に結ばれる青色のタイや柔らかさを感じさせる白地のシャツ、青緑味を帯びた背景の壁、そして厚ぼったいカーテンや少年の髪の毛などの黒色に近い緋色と様々な部分で色彩的対比が試みられており、この頃の画家が傾倒していた色彩的特長を良く示している。そしてその何れもが絶妙かつ繊細な調和と絵画的精神性を含んでおり、観る者に深い感銘を与える。なお本作以外の赤いチョッキの少年の作品はワシントン・ナショナル・ギャラリーやE・G・ビュルレ財団、ニューヨークの個人が所有している。


【全体図】
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への字に結ばれた少年の口。本作は1880年代末頃から1890年代初頭にかけて制作されたイタリア人少年ミケランジェロ・ディ・ローザをモデル(彼は職業モデルであった)とした≪赤いチョッキの少年≫の連作の中の1点である。



【への字に結ばれた少年の口】
色鮮やかな赤色のチョッキ。上半身と僅かな下半身で構成される赤いチョッキの少年の姿態は画面のほぼ正面を向けており、ここにセザンヌの単身人物画の多くに共通する厳格な正面性と垂直性を見出すことができる。



【色鮮やかな赤色のチョッキ】
少年が身に着けるシャツの多様的色彩。赤いチョッキを中心に、首下に結ばれる青色のタイや柔らかさを感じさせる白地のシャツ、青緑味を帯びた背景の壁、そして厚ぼったいカーテンや少年の髪の毛などの黒色に近い緋色と様々な部分で色彩的対比が試みられている。



【身に着けるシャツの多様的色彩】

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